魔王軍のお荷物〈最弱クズ魔族は〉巨乳女騎士を体目的で助けたら裏切ったと勘違いされ、難攻不落の魔王城から脱出するために〈魔王様を出し抜くようです〉
巨乳女騎士を添えて~【最終バトル】魔王様を出し抜いたクズ魔族
巨乳女騎士を添えて~【最終バトル】魔王様を出し抜いたクズ魔族
「そりゃそうだよなぁ」
バクン。
「思考に使う反応速度は約〇・一秒、見て聞いて考えて反応する」
バクン。
「この場合乳山の剣を見てから反撃するのに約一秒、油断したなあ、ああ? どうだ? 悔しいか?」
バクン。
「その悔しさももう覚えねぇ分けだけどよお、ケケッこれが俺の能力、これがお前が取り上げようとした俺の唯一のアイデンティティ」
バクン。
「理解できてるか? 無理だよなァ! 俺が喋った記憶なんてもうとっくに食われちまったもんなあゲェーヘッヘッヘ!!!!」
バクン。
「なんだ? そんなに知りたいか? 仕方ねぇ得特別だぞ、これは能力最大の弱点であるクールタイムを逆手にとったアイデアでなあ、直前の記憶を一秒食うんだよ」
バクン。
「するとこのように、一秒前の記憶がなーんにも覚えちゃいねえ、思考っていうのはよお、予備動作の連続なんだ、攻撃が来る! と思った瞬間に反応して反撃して、ハイ終了」
バクン。
「一秒後へようこそケケッ、ほらまた攻撃が来るぜえ! ほら受けなきゃ、そうやってる間にまた一秒がたつ、つまり俺のクールタイムが終わり」
バクン。
「な? 動けないだろ? こうしてる間は無限に行動を制限できる。テメーが精神防御持ってなくてよかったよ、おかげでこうしてゆっくり話が出来るもんなあ」
バクン。
「おい! いつまで私は攻撃していればいいんだ!? さっさとアレを取れ!! う、腕がああああもう限界だ!!!!」
「はいはい」
バクン。
「そんじゃぁつまんねー話はまた今度だ、じゃあなク・ソ・オ・ヤ・ジ」
バクン。
刹那。
魔王はジンと人間の後姿を見た、極彩色の靄に包まれた瞬間を。
魔王は思考した。反応速度の限界を超えて、この時の魔王の反応速度は全盛期をも超えていた、それは皮肉にもジンが引きずりだした限界の先――。全ての状況を把握し、やるべきことを掌握し、魔王は自身の能力を使った…。
――だが、それは同時に魔王の、魔族の神である、魔王の<敗北>を意味していた。
シュン。
そして、ジンたちは跡形もなくこの玉座の間から、消えた。
「……。」
バアン! と勢いよくドアがけ破られる音が響き、艶のいい、黒毛の獣魔が入ってくる。
「はあはあはあ…無礼をお許しください魔王様、ジ、ジンは、こちらにジンは来なかったでしょうか?」
「………数秒前マエこコに」
「やっ、ヤッパリ! 魔王様お願いが!!」
ヴォックスをほんの僅かに動かした指で静止させる。
「まさカ、我ノ指輪を奪ウとは」
「……!? 空間移動の」
「ソウだ、コの魔王城の敷地内ナラ好きな場所ニ移動でキル、我が作ッタある意味最強のアイテム」
「で、では! ジンたちは」
「…………。」
「し、失礼しました! 追います!!」
ヴォックスは魔王の返事を聞かず全速力で部屋を抜け。ガッシアアアンと音を立てて回廊にあしらわれたステンドグラスを割り魔王城の外に落ちる。
「ヴォックス様が落ちたぞおおおお!! おい、ヤメロ! お、押すな、落ちる!!」
落ちた先、魔王城の周りを囲むように生えている森へと落ちていく。
一人、玉座の間に残された魔王はピクリとも動かないその体で、窓の外、闇に包まれた<島>を見るとぽつりと呟く。
「最後の選別ダ、コの先の未来ニ、人生ニ、絶対の絶望ト苦シミの多カらンコとを」
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