『ヴァンパイアは第9が苦手』 下の2

 『義があって、助太刀いたします。』


 かえでさんが、きっぱりと宣言したのである。


 『ちょっとまて。なんで、あなたが、助太刀するの?』


 旦那さんがその奥さんに言った。


 『だって、あなた、絶対的に不公平です。多数で、ひとりを襲うなどとは。さあ、みなさん、出てきて、ください。』


 かえでさんが言うと、10人ばかりの社員さんたちが現れた。


 みな、同じヘッドフォンを着けている。


 形勢逆転である。


 なんせ、かえでさんは、タルレジャ拳法の現地師範代であり、圧倒的に強い。


 長男は見かけ倒しだが、ただし、妙子さんの実力は、未知数であった。


 『わ、君たち、給料下げるぞ。』


 旦那が言うのだ。


 『でも、奥さんが昇給させるって言いますよ。たぶんは、奥さんが強いかと。』


 一人が言った。


 『いや、そりゃま、そうなんだけど。この場合は、まずいんだなあ。』


 『気にしないでいいわ。1号上げます。』


 すると、旦那側の社員が言った。


 『え? おくさん。そっちに行ったら、おいらも、あげてくれるかい?』


 『もちろんですわ。』


 『わお。旦那、じゃ。』


 社長側にいた社員が、みな、奥様側に移った。


 しかし、社長は、そう簡単には昇給は言えないのだ。


 そこを分かってる長男が言った。


 『昇給より、将来を考えたまえ。みんな。』


 しかし、ある社員が答えた。


 『将来の昇進より、今の昇給ですなあ。』


 『直ぐにこっちに来たら、ひとり、係長にするぞ。』


 すると、1人だけが、社長側に移った。


 『裏切り者!』


 回りが言うと、彼は言った。


 『チャンスだからね。』


 『よし、はじめ!』


 誰かが言ったその合図により、闘いは始まった。

 

 そうして、そのタイミングで、ついに、第4楽章が始まったのである。



 だー、だだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ 〰️〰️✨



 ふつうなら、もうこれで、ヴァンパイアたちは、みな、ダウンである。


 しかし、ヘッドフォンの効果は、実際に高いらしい。


 だれも、倒れなかった。


 

 ぼくは、赤ちゃんをしっかりと確保している。



      🎶‼️


 


 


 

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