第21話

 私は昼の休み時間に先生方が集う教室に呼び出された。

 目の前にはこの学校で教鞭を取る先生。この学校の先生はもれなく全員貴族の次男とかであるので私よりものすごく身分が高い。き、緊張が……。


 私は魔法について説明することになったのだが……。


「これは私も精霊に聞くまで分からなかったんですけど……」


 私は黒板に人間の絵を描く。


「今までの魔法の論理といえば、人間が保有している魔力を物質に変換してそれを打ち出すって感じでしたよね?」

「ああ。そうだな。それが出来る奴と出来ない奴は本人の才能だという話だ」

「ですが、これがちょっと違うんです。この理論なら他の国の人も使えますよね」

「そこが疑問だったのだ。なぜこの国だけなのかと……」

「それは精霊の有無なんです」


 この国は精霊がいる国。

 他国には行ったことないからわかんないけど、精霊はここより少ないと思う。

 この国は私が歩いていても普通にたくさん精霊が生息してる。


「他国にももちろん精霊はいると思いますけど、この国ほど多くはないと思います……。他国の人もできなくはないんですが、厳しい環境であることには違いありません。では、仕組みを説明させていただきます」


 私は黒板に精霊の絵も描く。


「魔法の仕組みは、人間が魔力を精霊に与えて、精霊がそのお礼として人間の気持ちを汲み取り現象を引き起こすんです」


 これが魔法の真実。

 精霊が多いこの国で魔法使いが多いのはそういう理由。他国へ行くとまるで魔法が使えないという話もあるらしい。


「精霊にも属性というものがありまして、火の精霊、水の精霊、風の精霊などなど様々な精霊がいます。その精霊に自分の魔力を与えて、魔法と呼ばれるものを使ってもらうんです」

「……なるほど。それだとたしかに他国が魔法を使えないのも納得は…いかんな。精霊は少なからず存在しているのだろう? あらゆる魔法を使えそうではないか」

「ええと、それは人によって魔力の性質が違うんです。そして、精霊にも人間と同じように好みがあります。この国は精霊がものすごく多いので好みの魔力に当たりやすいってだけなんです」

「なるほど……。納得だ」


 大体の先生が驚いていた。

 

「なぁ、よく宮廷魔法使いが魔法の精度を高めるとか言って練習してるけどあれ意味あるのか?」

「ありますよ。仕組みは知らないでも無意識に精霊の好みに近づけるようにしてるみたいです。精霊が好む味ほど精霊も力を貸してくれますから」

「なるほど……。次。今まで魔法使えなかった人も使える可能性があるわけということか?」

「ですね。自分の魔力を好む精霊を見つけるのはすごく困難ですが……」

「そうかぁ」

「でも、見つけたらついてきてくれます。気が向いたら魔法を使ってみようと思ってみるのも大事だと思います。精霊は気まぐれですので……」


 精霊は気まぐれだから今もこの辺りをふよふよ彷徨っている。

 私の周りは特に精霊が集まりやすい。


「他に簡単に魔法を使える方法とかないの?」

「あります。私が力を貸してあげてとお願いしたら魔力を嫌々もらって手伝ってくれます。が、本当に好みじゃない場合それ一回きりのこともあるみたいです」

「へー……。ちょっと魔法を使ってみたいかも。いい?」

「じゃあ水の精霊にしておきますね」


 私は近くにいた水の精霊にお願いし、アリーナ先生という若い女の先生に魔法を使わせてあげるように頼んだ。

 水の精霊はわかったといってアリーナ先生の魔力をもらって魔法を放っていた。


「で、出来た! 出来たわっ!」

「うおおお、びしょ濡れになったが構わんっ! すげえ!」

「ん、水の精霊がアリーナ先生の魔力が好みっぽいですよ。今水の精霊さんがアリーナ先生の周りを飛んでます。多分、これからも水の魔法は頼めば使ってくれるかと……」

「ほんとぉ!? やったぁああああ!」


 こういう引き合わせることもできる。

 精霊は魔力を与えられるまで手を貸さない。そして、好みの魔力じゃないと手をつけない。わりとわがままな存在なのだ。


「いいなぁ……」

「これは新たな発見じゃぞい! 今すぐこのことを書き記さなくては……。ただ、これが広まると厄介な問題も出てくるのぅ」

「国王だな……」

「魔法が精霊のおかげと知るとどう思うかしら……」

「…………」


 みなさんものすごく渋い顔をしていた。


「俺も反精霊派だったけどよ、今の見て乗り換えるしかねえな」

「実際に恩恵を受けているわけだしね……。僕としても少しこれは考えさせられるね。魔法はちょっと使ってみたかったし……。ねえ、今度僕にも合う精霊と引き合わせてくれないか? もちろん報酬は出そう」

「必ず会えるとは私でも言い切れませんけど……」

「いいんだ。魔法が僕でも使えるなんて夢見させられたらやってみたくなるじゃん」


 先生は俺にも出来るかとたくさん聞いてきた。

 人間がこの世にたくさんいるように精霊もたくさんいる。アリーナ先生の場合は偶然近くにいただけでこの国にいない可能性もある。

 必ずしも魔法が使えるようになるとは限らないことだけを伝え、一応探してみることにした。


 しばらく休みの日は休めないですね。先生と一緒に精霊探しです。









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