第33話 いくつかの派遣要請
堕落した一日を過ごし、会長に任せるつもりで適当に仕上げた報告書を提出しに行く。どうせ詳細な物など書けやしない。
しもべ? 達の尽力や、浄化、それに気などどうしたってオカルトか都市伝説になってしまう。
「会長。報告書です」
受付さんで、出して帰ろうと思ったら、受理を拒否された。
曰く。
「この、指名は会長権限で発令されています」
協会になったから、組(合)長から会長になったようだ。
「直接、会長へ提出をお願いいたします。会長直属機関、陰陽師研究会の皆さん」
「は?」
いつの間にそんな名前で登録。
しかも、サークルが会になっているだけ。大学のノリそのままかよ。
仕方が無いので、最上階へ勝手に上がり、会長室をノックと同時に開ける。
オフィスなラブ現場でも発生していればおもしろいかと思ったのに、普通に仕事をしていた。つまらん。
「会長。つまらないです。秘書さんとむふふな状態を期待したのに、期待外れです」
そう言うと、反論が会長から来る前に、凪海のフォローが入る。
「すみません会長。和ったら、昨日から性欲魔人になっていて、少しおかしい感じで」
「いやおかしいというか、和の場合。抑圧していた物が出た感じじゃないか? 結構昔からむっつりだったし」
会長がそう言って、凪海が気づかなかったのは私だけ? 状態でこっちを見る。
「まあ男だからなぁ、多少はあるよ。どこかの先生が言っていたけれど、英雄色を好むは正論だって」
「本当なの?」
「ああ」
「よかった。急にだから、ダンジョンで何かを拾ったのかと思ったの。そうなのね。昔からだったんだ。そうなんだ。あれだけ高校の時とかアプローチしたのになかなか手を出してこなかったし、興味が無いのかと思って色々こっちが気を揉んだのに」
凪海が暴走状態に入ってきたので、先に用件を済ませる。
「はいこれです。報告書。後の補完は、お願いします。それじゃあ」
そう言って、さっさと踵を返す。わざと、微妙に手の届かない所に置くのがポイントだ。
何か言っているが、無視をする。
だが受付で止められ、会長が止めたのは、入金口座を登録しておけと言うことだった。
「大丈夫? なんだか、昨日からやっぱりおかしいよ?」
言われてみれば、こざかしいことをすると、ことごとく変になる。
裏目までは行かないが、なんだろう?
そう思って、気を揉むことになる。
そうソレは、大いなる森羅万象が司る何かではなく、自業自得というもの。
単なる自爆ともいう。気力と言える、生命力がクリスタルの吸収によりアップをしたので、から回っている。
凪海もその状態なのだが、和が先に暴走をしたのでバランスが取れた。
一志の所も、何か騒動があったようだが、青春の一ペイジですんだことになる。
その数日後、フランスから問い合わせが来て、会長はパニックを起こす。
『気とは何だ、浄化とは何だ? どうやってマスターする? 教えろ』
そんな感じのようだ。
他にも、公開された情報を読んだ、同盟国から問い合わせが殺到する。
かくして、困った会長は、和に連絡をする。
急遽パスポートを取り、あたふたとしていると、外交ラインで何かが来たようで、突然家へ、防衛省関係者がやってくる。
「君が、『新生物ハンター協会、会長直属機関、陰陽師研究会』の代表。井崎和君だね」
「はい? 代表は会長では?」
「そうだ、君が会長となっている」
「おれ、いや僕が会長ですか? 藤原文仁では?」
「それは、新生物ハンター協会、会長だろう」
会長があふれて、よく分からなくなったが、実行部隊は俺が会長のようだ。
話を要約をすると。関係諸外国から、一刻も早く、陰陽師を送ってこいと要望が多数。そのため、困り果てた外務省と防衛省は、騒動の中心。つまり俺達を、捕まえて放り込めとなったようだ。
ただ民間人であることは、間違いない。いきなり、国益のためだと捕まえて危険なダンジョンへ送り込むことはさすがにできない。
そこで、新生物ハンター協会会長に聞けば、本人達と話せと丸投げをしたようだ。
「だからやって来た」
「はあ」
今は、朝六時。健全な大学生は寝ている時間。
部屋は、凪海の状態もあれなので、上げるわけにも行かない。
少し待って貰い、着替えて、近くのファミレスへ向かう。
「と、言うことでだな、我々日本としても困っている。それに、彼らは大事な友好国だしな。此処で恩を売れれば後で色々と、楽になるし。君大学生だろう、自衛隊へ入らないかい? むろん試験を受けてもらうが、特別国家公務員だなってくれれば経費も浮く…… あっいや。そのなんだ。でどうだね、一日くらいなら観光を入れても良いから、早急に対応をしたいのだよ。さあ行こう。若いうちに世界を見るべきだ、君のためだ」
「本当は?」
「いや、世界が混乱して色々とあるのだよ。貸しを作れるのは良い機会なんだ」
話をしていると、構えができたようで、凪海がやって来た。
「むろん、タダで行けるのですよね」
「そりゃもう」
そう言って、担当者さんは揉み手をする。
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