第29話 国際機関爆誕。しただけ。

 会長から、泣きの通知が入る。

 『みんな助けてぇ』


 と、言うことで、居酒屋集合。

「何だよ、まだ収入は折り合っていないぞ」

「それも早くしないといけないが、なぜだか、組合が協会になって国際になった」

「「「はっ??」」」

「ついでに法人化したから、公務員じゃなくなった」

「「「はっ??」」」


「じゃあ首?」

「一応、半公半民。共済とかは公務員。それでだ、急に組織の再編で理事とかを入れないといけないし大変なんだよ」

「「「ほー。がんばれ」」」

「俺、生中」

「あたしも」

「俺レモンチュー」

「ウーロンハイ」

「ウーロン茶」


「こら一志。あんたも未成年だからウーロン茶でしょ。何さらっとチューハイを注文しているのよ」

 水希から突っ込みと修正が入った。


「おまえらなあ。まあ良い。俺も生。ええとそうだ。お前達チーム登録一号で書類を出せ。協会からの指名依頼で話を通す。遺跡は任せた」


「ただ働きじゃなければ良いよ。他の一般人も講習始めてライセンス出したんだろ。どうなっているんだ?」

「まだ差別化ができていない。できたら順次登録をして、ランク分けをする。そして海外へも行って貰わないといけなくなる」


「「海外?」」

 あんずと水希ちゃんが食いつく。


「海外って言ってもねえ」

 遙子さんが嫌そうな顔で説明する。


「議事録を見たけれど、希望を出しているのは、アフリカとか、アジアの小国で、自国の安定していない所なのよ。宿泊とか、食事もやばそうな所ばっかり」

「ええっ」

「なんだあ」

「大体大きな所は、自国で何とかするでしょ」

「それも、そうかあ」

 二人共が、しょぼくれる。


「じゃあそっちは、男達頑張れ。稼いだらおごって」

「ちょっと待て、俺達はハンター一択なのか?」

 匠先輩が焦る。


「いや、匠は設備関係など、今の会社で頑張って貰って、和とか就職はどうする気だ?」

「募集があれば会社員?」

「私は、和のお嫁さん」

 さらっと、凪海がぶっ込んでくる。


「じゃあ決まりだ。チームの代表は和にして、一志や門下生を引っ張り込んで動け。マネージメント経験者で就職に有利になるかもしれない」

「それって適当に言っていますよね。下手なサークル代表とか人事に嫌われるって聞きましたよ」

「俺の出向って、そのせい?」

 会長が沈んだ。


「まあいい。チーム名決めて書類出せ。依頼書出すから。終わったら消耗品とか人件費とか出して精算。確定申告は自分でやれ。個人収入じゃなくチームの収入だから事業主で出した方が得かもな。一月ごとに依頼をするから」

「ええっー。面倒」

 そう言うと、会長はこっちをじっと見る。


「何事も経験だ。やれ!!。先輩命令だ。いざとなったら、就職先も何とか考える」

「本当ですか?」

「本当だ」

 そう言った後、ジョッキを咥えながら、小さく言葉が聞こえた。

「多分な」


 うおーい。そう思ったが、訓練にもなるし、掘り出し物も出る。

 やたちゃんが居れば、道案内も多分問題ない。

「分かりました。お受けしましょう」

 思わず笑みが出る。


 数日後。

 集合場所に、先輩達は来なかった。

「来ないし、既読スルー。行くか」

「大丈夫ですかね」

「最初は、地図があるし、こいつも居るからな」

 そう言ってつい、やたちゃんの頭に手を置くと、くちばしが躊躇無く噛みに来た。


「まあ行こうか」

 中へ入り、前回と変わらないことを確認する。


 先頭を、やたちゃんがぴょんぴょんと跳んでいく。


 今回は、杭の落ちる飛び石を踏まず、最後の落とし穴の向こうにまで橋を架ける。

「そのブレスレット、この前の」

「ああ便利だぞ、何でも入る」

「そうみたいですね。まだあるかな?」

「復活していれば良いな」

 そんな雑談をしながら、飛び石に重りの石を置く。

 ガッシャンと。杭が落ちる。


 通路は、やたちゃんの足跡に印をつけていく。


 回り込めば、同じように通路が開いていた。

 閉まらないように。ブロックを挟む。


「あっ。そっちはやばいから行かない方が」

 一志に止められ、中の音を聞く。

 地獄の底から響くようなうめき声が聞こえる。


 そっとブロックを、除けると静に扉が閉まっていく。


「さあ、じゃあ行こう」

 何も無かった様に先へ進む。


「前はここで終わりだったはずですよね」

「そうだな」


 通路を越えて、部屋へ入ると、前にあったクリスタルの台座はなく、代わりに骸骨マントが、さも私を倒して先に行くが良いという感じで浮いていた。

 対処と思い、警戒をしたが、てんちゃんが光を発し触れた骸骨は燃えるように消えてしまった。

「「「はっ??」」」


「怨霊系は、浄化すればよろしいのです」

 てんちゃんから説明が入った。


「浄化すれば良いんだって」

 俺達は、何もなくなった部屋を調べる。


「やたちゃん。この前みたいに何かある?」

 凪海がそう聞くと、素直にこの前の所へ向かう。

 また復活したのか? 剣で押し込む。

 中をのぞき込むと、同じように、いくつかの物がある。


「あったよ。ちょっとすすけているけれど、磨けば綺麗になる」

「分け方は、どうします?」

 そう聞かれて、この前総取りしたけれど。


「人数で割るか」

 どれが良いかを聞きながら、欲しいものを取っていく。

 収納庫は持っているので、必然的に指輪とかを多く貰う。


「さて、通路はどこだ?」

 そう言うと、やたちゃんは出ていく。


「うわー、嫌な予感がする」

「奇遇ですね」

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