第2章 異変の始まりと世界の終焉

第10話 世界は闇に包まれ、新時代の幕が上がる。

 地球上の天文台が大騒ぎを始め、その騒ぎは徐々に拡散されていく。


 大国の一部は最初は秘匿しようとしたようだが、複数の国が情報を垂れ流し、宇宙の終焉だと叫び始める。

 そのため、自国の民衆を落ち着かせるために、分かっている情報を流すしか無かったのだが。現時点で分かっているのは、原因不明。だが確かに宇宙空間に光を遮る粒子が漂っている。そして、それが徐々に迫り、拡散をしていると言うことだけ。


 人は情報を自分で取捨選択をする。宇宙の終焉だと騒ぐ国のおかげで、世界各地で一部の民衆は暴動を起こし始める。


 そして、その一部の人々は、宗教に自身の安寧を求めて走る。


 そして日本では、『暗黒物質キター』とか、祭りが盛り上がり始める。

 ダークサイドがとかフォースをと話題が出るが、それがあながち的外れで無いことが後に証明される。この時にすでに一部の人間に起こり始めた現象。

 謎の能力発現が、周知の事実として、情報がすでに広がってきていた。


 一部では、太陽光の遮蔽による影響で温暖化が収まるとか、逆に寒冷化に対しての対応をどうするかと、早急に未来予測についての対応が議論され始める。


 世界においての対応は、これから起こる現象に何とか対処するか、諦めるか。

 その他に、このどさくさで、自国の利権をいかに確保するかと画策し始める国。

 騒いでいた多くの国と人々は、やがて諦め、何もしなくなる。

 できないと諦めていった人々と、ただひたすら指導者に対し、何とかしろと騒ぎ続ける民衆。


 そして、空気清浄機が馬鹿売れし始めた。



「テレビは相変わらず、真っ黒い画面のニュースだな」

「でも思ったよりも、速いスピードでこっちに来ているみたいよ」

 先輩達は、内定を貰って落ち着いたようだ。


 少し前までは、悲壮感が漂っていたが、世界もあわてても何にもならないと理解をしたようだ。

 少し前は、『新人? 募集? 今の時点で会社がどうなるか分からないのに、そんなこと考えることもできない』と言うのが、多くの企業の取った方策だったが、その時期に、仕事を辞めて旅にでたり、自分の好きなことを始めた人が多く。退職者がかなり出た。

 さすがに、業務に支障が出始め、頭が冷えたようだ。急遽売り手市場な、人材確保が始まりだした。

 

 今回、うちのサークルは、会長、あんず先輩に、匠先輩。三人が抜けてしまう。

 当然、存続の危機となっている。

 まあ、元から四人だったので、大学からは非公認だったが、部室に使っている教室があと一年すると使えなくなる事が決まっている。会長が、何かのネタで教授を脅し確保していたようだが、その教授も定年で終わる。


 それこそ、お先真っ暗だ。


 そうそう、四人の関係は未だに変わっていないようだ。

 良く分からない大人の関係。


 

 そして半年が過ぎ、先輩が卒業。僕たちが二年生になり、夏も近付く六月の始め。


 太陽系は、いよいよ黒い物質の範囲内に入ってくる。

 夜空は、一方向から闇が侵食し、暗く星の見えない空がその範囲を拡げていった。


 その中で光る星は、当然太陽系の星々で、小さいが新たな天体が発見されたと、小さな騒ぎが起こった。


 そして、それから数日で地球を含め、暗黒物質に包まれたようで、太陽がいよいよ薄暗くなっていく。


 ただ思ったより、暗黒物質の濃度は濃くなかったようで、太陽も月も存在しているし、昼間は暑い。

 まだ影響は始まったばかりなので、これからどんどん気温は下がるだろうと、悲観的予測が発表される。


 


 そんな中で、細かに発表されていた怪異現象が、本格的に現象として現れ始める。

 謎の吸血生物だけでは無く、死者が歩き回り、スケルトンが墓場で踊り狂っている映像が流れ始める。

 そして、お待ちかねゴブリンやオークが目撃され始め、異世界感が増していく。


 世界中の国々が恐怖する中。

 その世界の片隅で、ワクワクな人々が、歓声を上げたとか上げていないとか。

 絶滅したはずの狼たちが走り始め、魔法が使えたというコメントが乱舞をする。


 『スライム、ハケーン』とコメントと写真を出したお調子者は、持ち上げた手を溶かされ大騒ぎになり、政府から注意喚起が始まる。


 当初、新外来生物として新規登録がどんどん増え、鳥獣保護の対象か否かで議論が起こる。問題は、この新生物は倒すと霧となって霧散するだけ。

 この初期のものは、魔石すら持っていなかった。


 生物なのかと言う議論がだされ、認められない。これは、霧による現象であると結論付けられた。

 そのため、新外来生物から削除され、鳥獣保護の対象からも外された。


 だが、被害は深刻で、襲われれば怪我もするし、狼やオークなら成人男性でも生き死にの問題となる。

 朝から電話の鳴り止まない警察と各関係の役所。

 突然現れるモンスターのため、交通インフラでも問題が多発する。


 苦肉の策として、『そうだ、冒険者組合だ』と誰かが言ったらしく、モンスター駆除に対する許可と従事者の管理システムが構築される。

「新生物ハンター組合を設立します。完全登録制で武器の許可も許容しますが、普段は保護ケースから出さず携行すること。そして、新生物に対しての対応は、警察や保健所その他関係役所へ連絡しないでください」

 そんな通達が出された。


 ただ、器ができたが、人は居ない。

 新生物ハンター組合は、連絡を受けて電話を捌くだけの状態が、しばらく続く。


 やがて、ボツボツと人は集まったが、スライムやゴブリン一匹討伐して千円。

 討伐しても消えるため、証拠がないと払ってもらえない。


 当初は、個人にアクションカメラカメラ映像を持ってこさせたが、編集済み映像を持ち込み、不当に利益を得る者達が急増。

 急遽鍵付きアクションカメラを、討伐開始時に貸し出す方針に転換をした。

 やがて、魔石を落とすようになっていったが、それまでは混迷を極めた。


 そんな頃、凪海は八咫烏を創り出す。

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