第9話 宇宙での異変
この世界。宇宙の外から、流れ込んでくるエネルギーが存在する。
この宇宙は、管理者により管理され、管理室の中央にあるクリスタルからエネルギーが各宇宙に、配布されている。
クリスタルに近い方は、初期に作られたため、エネルギーが大量に使用されている。そのため最もクリスタルに近いエリアは、この世界で、神や天使などという神話生命体が存在していて、その外側にある宇宙では、魔法が使えたり、ドラゴンなど謎生物が存在する。
現在の地球がある宇宙は、かなり省エネであるため、クリスタルのエネルギーが少なく、スピチュアルな現象が散見される程度。
だが初期に創られた宇宙の片隅に、物理設定ミスのため、生命も発生せず。管理者のゴミ捨て場にされている宇宙があった。
その中で、呪いの様な精神体が生まれて、エネルギーラインの障壁を破り、他の宇宙へと逃亡した。
逃げ出したものの一部は、訪れた宇宙で邪神と呼ばれ、文明を持った種族により、封印されたり消滅させられたり、幾多の世界は無事、難を逃れた。
さらに外側へと、逃れたその精神体は、エネルギーラインの供給が少ないと、自身の維持や活動に支障があるため、少し障壁を改造する。
管理者に警戒アラートが出ないレベルで、エネルギーレギュレーターをほんのわずかにいじる。
だがそのわずかは、そこで生まれ育った生命体に変化を促す。
現れた現象は、精神に左右される謎能力。
そう。藤原会長が言っていた黒い霧は、悪しき精神体。それと共に宇宙の構成用クリスタルのエネルギーが、地球を含むこの宇宙へと流し込まれ、じわじわと地球にも影響を与え始めた。
それが今、地球で起こり始めた現象の原因。
そして、それがある程度の濃度になってくると、クリスタルに近い側の宇宙のようなファンタジーな現象が始まりだした。
まだ基本濃度が薄いが、それは確かに増加を始めた。
その現象は、一部目撃者により知られただけだったが、世界各地の天文台より、恒星や銀河の消失が認められるようになってくる。そしてそれは、日を追うごとにひどくなって行く。現象としては単に霧が濃くなり、向こう側の光が届かなくなっただけだが、確かな異常として、認識され始めた。
その霧が、太陽系を包み始める頃。太陽は薄暗くなり、数ヶ月で気温が下がり始める。
それと共に、伝承にあった生物たちの、目撃が始まり始める。
1888年にイギリス、ロンドンで発生した、切り裂きジャックよろしく、人々が切りつけられて内臓が消失していたり、ガーナではアサボンサムが現れ、人が襲われ血を吸われたりとか、オーストラリアでも、ヤラ・マ・ヤー・フーが現れた。
最初に現れたのは、吸血や食人系モンスター。
人々の伝承にある恐怖が、現実に具現化をするのか、形として現れ始めた。
切っ掛けは、映画であったりSNSであったり。
ただそれは、確かに現実として起こり始めた。
それが現れる、半年ほどまえの現在。
目の前の先輩達は、発情期だった。
いやまあ、先輩だけではなく、この時たまたまだが、エネルギーの濃い帯が世界中で幾箇所かに降り注いだ。それに触れたすべての生物が、供給された謎エネルギーの増加によりドーピング状態。
訳も分からず、力が増し気力が充実。
地球上で、ハッピー状態の場所ができていた。
きっとステータスが見られれば、状態異常。症状ウッキウキとなっていただろう。
でだ、四人共が何故か、いちゃついている訳だ。
ただ、確か相手が違っていた気がするが、気のせいだろうか?
会長とあんず先輩。
匠先輩と、遙子先輩が何故かペアになっていた。
「あれ? 組み合わせが、おかしくないですか?」
そう聞いてみるが、反応的にはクエスチョンマークが浮かんでいるような反応だ。
すると、会長が逆に聞いてきた。
「俺が会長で、あんずが補佐。おかしくないだろう?」
「なぜか、恋人同士に見えますけれど?」
「まあ付き合いが長いし、そんな事もあるだろう。だが、こら匠何をしている?」
「えっ? 退屈なので遙子ちゃんの性感帯探訪」
しらっと、答える匠先輩。
「遙子おまえもだ。いやなら逃げろ」
「えー。このくらいなら別に良いでしょ? だめぇ?」
「腹立つから駄目」
「えー」
そう言って、遙子先輩が場所を移動する。
だが何故か、あんず先輩に脇腹をつねられる会長。
「痛えな。なんだよ」
「別に。なんだか、むかっときたから、つねっただけ」
「あんず。文仁と浮気するなら、目の前でしてくれ。隠れてされると腹立つから」
そんなことを言う匠先輩に、あんず先輩が突っ込む。
「あんた。そんな属性があったの?」
「属性? ああいや違う。文仁と元サヤに戻るなら、手を引くという事だよ」
「ああ。まあね」
「なんだおまえ達、付き合っていたのか?」
会長が、匠先輩に聞く。
「いや付き合ってはいないな。なあ、あんず」
「そうね。文仁。あんたは、遙子と付き合っているの? さっき焼き餅焼いていたけど」
「いや正式に、そういう事にはなっていないが、なんだろう? 嫌なものは嫌だな」
「よく分からないわね。あんたがはっきりしないから、こんなややっこしい事になっているのに」
「なんだ? 俺のせいなのか?」
「そうでしょ」
そう言って、にらみ合いが始まる。
「なんだか、よく分からない。大人の世界だね」
僕は、凪海と二人。首をひねる。
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