第10話 重病を装った極悪ニート

 あれから数ヶ月




 クリオは自分の足で、とある登山道入り口に一人立たされていた。




  日が暮れはじめたばかりの登山道入り口には登山客はおろか、人影すらなかった。



 そう、それは遡ること、数か月前、涙をながしたであろう、その日の翌日から食事をしっかりと食べるようになった。

 いや、厳密に言うと、食べさせて貰っていた料理をすべて完食するようになった。

 やせ細ってガリガリだったクリオの体はみるみるうちに元の体系どころかそれ以上にまんまるおでぶになった。

 メンバーらが泊まり込みで入れ替わり立ち代わりで、クリオに朝昼晩 つきっきりで食事を食べさせ、もちろん風呂に入れさせてもらっていた。

 週に1度のお風呂も、数人がかりで重たいクリオを風呂へ運び、服を脱がせ、体を洗ってもらい、そして暖かい浴槽へと入れてもらっていた。

 とてつもなく大変ではあったが、メンバーらは、そんなクリオも最初は、大人しそうに見えた。

しかし、ある日から泊まり込みをしてクリオの看病をしていたメンバーらは、仕事に出かけ、買い物をしようとすると何故か個人データのクレジット残高が減っていることに気付き始めた。

最初は気のせいかと思っていたが、他のメンバーらも不審に思い、メンバーらが集まる事務所に集まった時にその事を話したことから確信へと変わった。


 他にも、外へ出かけられなく貯金もないクリオの冷蔵庫には、いつもデザートやアイス、棚にはたくさんのお菓子、ビール、つまみ、が入っていた。


 メンバーらも最初は別の仲間が買い足したんだろうと思ったが、実際には食料以外、誰も買い足してない事に気付いた。

ということは、おっさんが勝手に自分らの個人クレジットデータから勝手に買い物をしているという結論に辿り着いた。

むろん、たしかにメンバーらは、バラモンという大手インターネットショッピングの履歴を見ると 見覚えのない購入履歴がたくさんあった。という事は、クリオはベッドから自分の足で、部屋中を移動しているという結論に辿り着いた。


そこでメンバーらは怒りを抑えながらおっさんに問いただした。


が、おっさんは断固として白を切った。


それ以降、泊まらない選択を余儀なくされた。


しまいには、すとっくされてあったお菓子やアイスなどがなくなると、しまいにはメンバーらにお菓子やアイスを懇願するようになった。三食食わしてやってるのにも関わらずだ。

言葉遣いも、命令後であった。

今まで仕事の合間を縫って看病してきたメンバーらに対しての労いの言葉もなく、むしろ奴隷だと勘違いしてしまっているようだ。


やがて、気に食わない事あると暴力を振るうようになった。


とくに、アイスやお菓子が食べれない事からのストレスでメンバーらにお願いするもメンバーらが断るごとにタンスやパソコン、冷蔵庫や洗濯機が破壊された。


メンバーらは、もう自分の足で歩けると知ったクリオに対して、働くように促した。



メンバーらは限界に達し、クリオをとある険しい山の上の仙人に修行させてもらうように頼んだ。


そして、それが現在に至る流れであった。

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生まれたての三頭身な「汚っさん」と「その愉快な仲間たち」 全ては魔滅死 @subeteha-maboroshi

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