第119話 君はどう生きるか?
「どうする…って?」
「……夜人くん、貴方は賢いわ。それこそ身体年齢と精神年齢が乖離しているのではないか?と思えるほどに、ね」
ギクッ!!!
俺の事を盲目的に見ているだろうと予測していた母さんの言葉に背筋が震えあがる
嘘だろ…?これでも俺自身は自重しているつもりなんだけど…
「そんな貴方が予想出来ないと私は思えないけれど…敢えて伝えてあげるわ。貴方は間違いなく私の子よ」
でしょうね
産まれた瞬間の衝撃は今でも覚えてますから
「私が『白冬』直系の血筋であるという事は貴方も『白冬』直系の血筋であるという事よ」
「うん」
まぁそりゃそうだろう
あぁ…母さんの言いたいことが理解出来たわ
「貴方は男の子、それだけでこの世界では稀少性が高く要望は通りやすい。それに加えてこの国では多大な権力を誇る『白冬』の血筋に連なるの。」
「そうだね」
「そんな貴方が『白冬』に声を掛け、要望を願い出れば間違いなく朝焼君への虐待を失くす事は出来るわ。それ所かその黄秋の男の子を排除する事も容易に行えるでしょう」
「……」
え……?同じ四大名家なのに?
こちらは継承権を放棄して白冬を名乗れないのに、黄秋を名乗るアルス君を容易に排除できちゃうの?
「その顔は同じ四大名家なのに?と言う顔ね。えぇ、勿論容易に行えるわ」
おぉ…母さんに心の内を読まれてしまった気分だ
何かちょっと気恥ずかしいな
「貴方は何でも出来る。性別、容姿、頭脳、家格……貴方が望めば出来ない事が見つからない…それが『白冬夜人』、貴方よ」
「…………」
いやいや、生まれる前はCTスキャンされても男とは判断されませんでしたがね?とは空気を読んで言わない
何だったら絵は未だに壊滅的だし、不器用じゃ片付けられない位に不器用ですがねとも言わない
まぁ、母さんの言いたい事は分かった
要は俺が『白冬』の家に入れば、この世界…少なくともこの国では望みが何でも叶うと言いたい訳だな
それにしても他は兎も角、容姿については親のひいき目だと言わざるを得ないが…それはこの際置いておこう
「その上で頭の良い貴方に尋ねるわ。貴方は『白冬』の家に入る?『白冬夜人』になれば朝焼くんの事は造作も無く解決できるわよ。もし貴方が『八剱夜人』のままで居たいのなら…朝焼くんの事は諦める事をお勧めするわ」
「っ?!!」
「貴方が『八剱』のままで居るのなら…ハッキリ言って黄秋には勝てないわ。……相手は四大名家なのよ。幾ら多少家格が高かろうが、四大名家に勝てる要素は何一つ無いの」
「…………」
まぁねぇ……
相手はこの国のBEST4の一角を担う家なのだから母さんの言う事は理解出来る
「此処からは心して決めなさい。『白冬夜人』となって朝焼くんを助けるか、『八剱夜人』のままで居て朝焼くんの事を諦めるのか……さぁ、どっちにするの?」
「…………」
いやいやいや…母さんよ、その質問はズルいと思いますよ?
「ハッキリ言って置くけれど、『八剱夜人』のままで彼を助けるという甘い考えは捨てなさい。この世界では権力を持つモノが勝つ様になっているの。だからこそほとんどの人は何処かで諦め、妥協して人生を歩んでいくの。でも…貴方は違う…貴方には…明確に強大な権力を有する事が出来る選択肢が用意されている。さぁ…貴方は『白冬夜人』なの?それとも『八剱夜人』なの?」
「…………」
俺はその質問が『ノーリターンポイント』だと自覚し、目を閉じて暫し思案した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます