第118話 八剱さん家のお家事情


「そうね…先ず、『八剱』という家は『四大名家』の内…『白冬』直系の家という事を伝えましょうか」


「うん……え?いやいやいや!!!先ずって可笑しいよね?!」


四大名家の何処かの直系だろうとは予想していたが…サラッと言う内容ではない

寧ろ重々しく告白する事案ですらあるだろう?!と思ったりする


「夜人くんの事だからそこはある程度予想していたでしょ?だったらサッサと伝えて別の事を伝えた方が有意義だわ」


「……Oh」


いつもの母さんとは違って凄いドライだわ…

普通に考えたらとんでもない爆弾なのにそう思わせない所がより怖く感じるな


「『白冬』の直系は元々10の家があったのだけれど…時代の流れや子供が出来ずになくなったりやらで今は4つの家だけが残ってるの。「壱刀」「肆鎌」「拾鎧」そして「八剱」の四家がそれに連なるという感じね」


「ほぇ~~…」


思わず言った事も無い感嘆の声が口から漏れ出る

…どうやら俺や月姉さんも名家の血が流れているそうだ

そんな事を考えていると、母さんから予想以上の爆弾発言が飛び出てきた


「因みに私は『白冬』から『八剱』の養子になったから『八剱』の性を名乗っているけれど、血筋的には『白冬』の直系に当たるわ」


「はぁ?!!!」


思わず素の声が出てしまった俺は悪くないと思う

…が、何?今この人なんて言ったの???

誰が…?母さんが???あの日ごろ俺を夜人きゅん夜人きゅんと年甲斐もなく連呼する母さんが??

え……??四大名家……????


「因みに私は元『白冬』の次期当主だったのよ。色々あって『八剱』に養子として出る事になったけれどね。だから私にはもう継承権は無いから2人とも安心して良いわよ」


「はぁ~~?!!!」


いやいやいや…

ちょっと待ってくれ…

情報過多で頭がパンクしそうまであるぞコレ…

俺は頭が痛くなりながら、母さんに告げられた衝撃な発言を必死に整理し始めた



「………ふぅ」


なでなでなで


「落ち着いたかしら?」


なでなでなで


「落ち着いてはいるけど整理までは出来てない」


なでなでなで


そもそも100MGの容量しかない俺のキャパシティには余りに膨大すぎる情報量だ


なでなでなで


「そう…ところでいつまで月の頭を撫でているの?」


なでなでなで


「僕の心が完全に落ち着くまで」


なでなでなで


そう、俺は自分の容量の足りなさを月姉さんの頭を撫でるオプションをつける事によって何とかなっている様な状態である

月姉さんと言えば、真っ赤な表情を浮かべているものの、黙って俺に撫でられて身を寄せてくるために嫌がってはいない筈だなでなでなで


「……月、禿げるわよ」


「っ?!!」


母さんにそう言われた瞬間、月姉さんは飛び上がるかの様に俺から離れていってしまった

あぁ…俺の癒しよ…


「夜人くんもある程度は落ち着いたでしょ?さっき言った通り、継承権が無いとは言え私は『白冬』直系の血筋に当たるわ。だから麗さんの様な優秀な護衛官を迎え入れることが出来たし、あづみちゃんのお母さん方も気を遣っていたって訳」


「はぁ…」


「さて…夜人くんの質問に私はちゃんと答えたわ。次は夜人くんの番よ」


母さんはそう言った瞬間に場の雰囲気はよりピりついたモノに変わっていき


「それで貴方はどうしたいの……?」


そう言い放った母さんの目には心無しか、答え如何によっては対応を変えるという確かな意志を感じられた

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