第114話 埋蔵金の様にザクザクだな…


「ていうか沙月ちゃん、朝焼くんと知り合いだったんだ?」


「?!!!」


この居たたまれない空気感を払しょくする為、強引に話題を切り替える

ふっ…精神年齢30代の俺からすればこの程度は余裕よ余裕


けどまぁ、気になったのは事実だ

どうやら沙月ちゃんと朝焼くんは顔見知りらしい

だったら対策の幅も広がるのではないだろうか?


「えっと…」


「あぁ、言いたくないのなら言わなくても良いよ。純粋に何でかな~?と思っただけだから」


とは言うものの俺は別に鬼畜な大人じゃない

相手の心情を無理矢理聞き出す様な紳士にあるまじき行為をする事は無いからな


「っっ!!言う!!言うわよ!!!私と公理くんはただのお友達でそれ以上でもそれ以下でも無いんだから!!!!」


「……あぁ、うん」


なんかメッチャ必死な形相で俺に食い掛って来るんだけど……

普段クールキャラの彼女が妙に焦ると違和感と言うかギャップと言うか…なんか色々と思う事が有るよねぇ


そんな事を思いながら沙月ちゃんの話に耳を傾けた



「夜人くんは『四大名家』って知ってる?」


「うん、今朝に麗さんに教えてもらったよ」


確か『紅春』、『緑夏』、『黄秋』、『白冬』…だよね?

朝に習った事を脳内で復習しながらそう答える


「そうなんだ…だったら私の名字は覚えてる?」


「勿論分かるよ。沙月ちゃんの名字は『日暮』…」


「そう、私と公理くんの家は黄秋に連なる家なの。黄秋は『朝焼』、『花起』、『午刻』、『日暮』、『月出』、『晩歌』を直系としているの」


え?何か1日の流れを名字にしてるって事?

でも『花起』とか『月出』とか聞いた事無いんだけど?

なに?この世界の言葉では普通なの?


「因みに『蕗ノ薹』は『紅春』の直系一族よ」


「僕の家である『蛍が丘』は『緑夏』の一族だね」


若干混乱気味な俺に対してあづみちゃんと蓮華ちゃんが新たな情報で俺の脳にダメージを与えて来る

何なん、それ…皆、滅茶苦茶良い家の娘ですやん…

……そう言えば、俺達の通っていた保育園って名門だったらしいもんなぁ~


「へぇ…皆、凄い家の子だったんだね」


脳がショートしそうで月並みな感想しか言えないなぁ

だがそんな俺に対して、あづみちゃんや蓮華ちゃん、沙月ちゃんの視線が何だろう?

何とも言えない様な視線を俺に向けている


「…え?何…?僕、なんか変な事言ったっけ?」


「いや…うん…まぁ…」


「まぁ…事情はあるし、ねぇ?」


あ…俺、これ察したわ

多分、俺の家も何かあるわ…


しかしこの面子、俺も含めて掘れば掘る程、何かが出て来るな…

此処まで来ると逆に怖いよ…


「ゆ、雪はよ、夜人くんが何だったとしても…き、気にしないよ!!」


「夜人は俺様のライバルだからな!!!良く分からんがそれは変わらん!!!」


「…雪ちゃん…零くん」


おっさんホロリと来ちゃうよ…

君たちのその純粋な感情が、公理くんの件等があってささくれている俺の心に何よりも染み渡る


「「「「っっ?!!!!」」」」


そんな事を思っていると無意識に雪ちゃんと零の頭を撫でていた

その瞬間、周りの時間が停止した気がするが…まぁ、気のせいだろう…

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