第36話 土曜日の昼下がり

「夜人くん、あ~~ん!!!」


そう言って唐揚げをフォークに刺して月姉さんが俺の口に近づける


「あ・・・あ~ん・・・」


この年であ~んされるのは問題ないのだろうか?

そこら辺の知識が前世を含めてない為、問題は無いのだろうと思って唐揚げを口にする


くっ!これ・・・何かめっちゃ恥ずかしいな!!


家族会議のあった次の日である今日は土曜日の為に母さんも月姉さんも家に居る為に現在は3人で昼食中だ


因みに麗さんは今日、我が家を訪れる事は無いのでお休みなんだろう

是非ともゆっくりと休んで頂きたい・・・


「むぅ・・・夜人くんが別の子の事を考えてる気がする・・・」


「そ、そんな事ないよ!!はいあ~~ん!!」


勘のいい天使は嫌いじゃない・・・が麗さんの身体を労わる位は許してつかさい


「ふふっ、夜人きゅんは麗さんの事を心配してるのよ。月もそれ位は許してあげなさい」


ママン、何で分かるの?!!

最早親だからっていう理由を超越してるよ?!!

え・・・俺の声って聞こえてんの?!!


「あらら・・・夜人きゅんが何で分かるの?って顔をしているわね。ふふっ、ママだからよ~!!」


「そ、そうなんだ・・・」


「むぅ~・・・だったら許してあげる!!」


怖ぁ~~・・・俺にとって一番チョロイのは母さんだと思っていたのだが・・・実は最強なのかもしれない

そんな事を考えていると背筋がブルッと震えてしまう


母さんの事は出来るだけ敵に回さないでおこう・・・

て言うか・・・俺の事バレてないよね?ね?等と思いながら母さんの事を観察していたが、ピクリとも表情を変えなかった事から、心の声が聞こえていない事を確信し安堵した・・・



昼食後は我が家の恒例行事であるゲーム祭りが開催された

ゲームの内容は先々週に母さんが買ってきた「ぺ~グミン」だ


宇宙を旅する女の子が不時着陸した星の現地人に協力して貰いながらステージをクリアしていく趣味レーションゲームだ

このゲームは対戦モードもあり、ワイワイと家族で楽しめる為に一家団欒の貴重なツールとなっている


「あっ!!お母さんに紫ぺ~グミン取られたっ!!」


「月、どんな世界でも弱肉強食なのよ」


「僕はお母さんの持っている銀ぺ~グミンを奪っておこう」


「?!!夜人きゅん・・・恐ろしい子っ!!」


「よしっ!!今の内に私の赤ぺ~グミンでっ!!」


とまぁそんな感じでワイワイと過ごしていると気が付けば夕方頃になる


「さて、と。そろそろ宅配が来るわね」


母さんはそう言いながらリビングの方へ移動していく

実は母さんはあまり料理が出来ないのだ


昔はもうちょっと出来ていた(らしい)が、俺が産まれた事により麗さんが派遣される様になってから料理の勘?みたいなのがわからなくなったらしい・・・


だから土日に関してだけは料理を宅配して、それを家族で食べている

まぁ。俺には言わないが母さんと月姉さんが買い物にいったりすると麗さんの手を煩わせるという事も要因ではあると思う


全ての生活で俺が負担になっていると思うと申し訳ない気持ちになってしまうが、それでも俺に愚痴等を言わない母さん達には本当に感謝しているのだ


そんな事を考えていると・・・


(・・・・・・出来るだけ親孝行する様にしよう)


そんな事を今日改めて思ったのだった

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