第35話 逆転ホームラン?!!(尚、満塁は無い)


まぁ俺だって行ける確率は2割もないと考えていたから、この反応は仕方ない

だってそうだろ?


ついこの間まで外に出る事すら許されなかった俺が保育園に行き、道場に通い(予定)、今度はヒーローショーに行きたいと言っているんだ

普通に考えたら無理に決まっているだろうと納得はしている


「夜人きゅん・・・お外には危険が一杯あるのよ」


「そうだよね・・・」


「保育園や道場と違って悪い人もいるかもしれないの」


「そうだよね・・・」


「お店だったら個室を予約すればと思ったけれど・・・流石にヒーローショーは・・・」


「だよね」


「夜人きゅんのお願いだから何とかしたいけど・・・ごめ「奥様お待ちください」」


母さんがダメ出しをしようとするタイミングで徐に麗さんが口を挟む


「奥様、夜人様のお願いですが・・・こちらで叶える事が出来るかもしれません」


え?!マジ?!

さっきも思ったが、行ける可能性は2割もないと思っていた

そこからの麗さんの提案に心が弾む


「・・・麗さん、どうやって夜人きゅんの願いを叶えるの?」


「はい。一般的には浸透しておりませんが、男の子たちが止むを得ない状況で外出する際、変装するというルールが御座います。」


え、そうなの?!

心の中で驚いている俺を尻目に麗さんは言葉を続ける


「それを考えると相手方も先ず間違いなく変装をしてヒーローショーへ向かうでしょう」


「・・・・・・」


「更に護衛官である我々が母親、若しくは姉の様に振る舞う事で周りからは違和感なく女児の親子だと認識され、リスクは低くなります。」


「・・・・・・」


「更に更に、ご自宅でもそうである様に現場には2班が周りからお2方を見張っております為に不測の事態でも非常に対応はしやすいかと。」


成程ね・・・

俺が変装して麗さんが親子の振りをしつつ、周りから俺の目を離さないからリスクは減る、と

しかも今回は雪ちゃんのお兄さんも同様であるだろうから戦力は2倍となる訳だ


「とは言うものの、立地面、セキュリティ面で申し上げればご自宅に居て頂く方が安全性は間違いなく高いでしょう・・・あとは夜人様と奥様のご判断次第とはなります。」


「・・・・・・」


麗さんにそう提案され、母さんは暫し押し黙る

親の感情を前世も含めて味わった事が無い俺には分からないが、多分様々な感情が渦巻いているんだろうなぁと思う

・・・母さんが麗さんの言葉を聞いた上で下す判断に俺は大人しく従おう


「・・・分かったわ」


「っ?!!」


「お母さんっ?!!」


暫しの沈黙の後、母さんは外出の許可を口にした


「麗さんには今までお世話になっているもの。貴女がそう言うのなら、私は信じましょう。」


「奥さ「ただしっ!!!!夜人きゅんのお母さんは私よっ!!!貴女にお母さん役は譲らないわ!!貴女は夜人きゅんと月の叔母よ!!!叔母役で同行しなさい!!・・・あ、はい」


感動しかけていた麗さんの表情が母さんの言葉により、残念そうな人を見る表情に変わる

叔母って・・・姉じゃダメなのかな?と一瞬思ったけれど、母さんの容姿で麗さんが子供だと言うのも無理がある気がするなぁ・・・等とのほほんと考えていた


まさか日曜日にあの様な事があるとは、俺自身、全く予想すらせずに・・・

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