第34話 家族会議(道場決定編)
「次に・・・【ほんわか流合気道】です。こちらの合気道ですとケガのリスクは1番低くなってます。ほんわか流は練習日や練習時間、練習内容の全てを生徒に一任している為に自由を是とした合気道となっております。」
はいっアウトーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
習いに行くのに生徒に全て一任する意味が分からないっ!!
と言うか、名前の次点でアウトッッ!!!
格闘技の看板を掲げる様な名前じゃない!!!
「ケガのリスクが低い・・・有りね」
「うん」
「はい・・・私も夜人様の御身体の事を考えますと1番おススメです。」
ないないない!!!
無しよりの無しだっっ!!!
てゆーか麗さんっ?!!!さっき真逆の様な流派を勧めてませんでしたか?!!!
俺の精神は既にガリガリと削られている・・・
もし最後の流派もあんまりだったら、合気道という選択肢を外さないとダメかもしれない・・・
「最後に・・・個人的には1番おススメしない道場となりますが、【極道流合気術】という流派となります。此処は先程の2つの流派と比べまして・・・その、中途半端な流派となります。」
ん?中途半端?
全然良いんじゃないか?
さっきの2つが極端すぎるだけで、それなりに厳しく指導してくれるのならば俺としては願ったり叶ったりだ
「それなりに乱取りがあり、それなりに制限もある。またそれなりに門下生も居ります為に、例え他生徒が学校、会社に行く時間帯であっても生徒さんはいらっしゃるかと・・・」
え・・・最高じゃん?
おススメしない理由が分からない
ていうか、完殺とほんわかは生徒いないの?
「ちょっと待って。その言い方だとさっきの2つの道場には道場生がいないんじゃない?」
「いえ、【完殺応酬流合気道】は門下生が師範を合わせて4人在籍しており、まず間違いなくブッキング致しません。そして【ほんわか流合気道】は道場生は多数在籍しておりますが、そもそも出席率が異常に悪いためにブッキングする可能性が薄いとの事です。」
完っ全にダメだ!!!!
厳しすぎて道場生がほぼいないのも出席率が異様に悪いのも完っ全にダメだ!!!
「う~ん・・・夜人きゅん、どうする?」
「最後の所で」
母さんの問いかけに俺は滅茶苦茶良い笑顔で即答した
◆
◆
みんなの反対を押し切り、俺は【極道流合気術】に通う事に決定した
後は麗さんとMHCが相談した後に【極道流合気術】に行く事になるらしく、もう少しだけ待って欲しいとの事だった
うんまぁ・・・それはそれで良いと思うのだが、俺は母さんたちに相談しなければならない事がある
「お母さん、麗さん・・・お願いがあるんだけど・・・」
「それは昨日言っていた雪ちゃんの事?」
流石母さん・・・俺が言わんとする内容を速攻で察してきた
俺はこくりと頷いて言葉を続ける
「雪ちゃんにはちゃんと謝って許して貰ったよ。だからお家には行かない。でも・・・お兄ちゃんが日曜日にボウゲンジャーのヒーローショーに行くんだって・・・」
どうよ、このたどたどしい説明の仕方!!
俺ってば完全に3歳児をトレースしてやがる・・・
こりゃ将来役者だなっ!!!・・・しないけど
そんな自己満足に浸っていると母さんが渋い表情を浮かべている
「お外・・・お外ねぇ・・・」
「ダメッッ!!!夜人くんがお外に行ったら大変なことになるからダメッ!!!」
そんな2人の反応を見ると・・・どうやら今回は男と会うのは見送る形になりそうだなと半分諦めだした
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