第33話 家族会議(道場吟味編)

「ふぅ・・・」


「夜人様、本日もお疲れ様です」


今日は主に精神的な疲労が顕著な日だった・・・

悪い事は何一つしてない筈なのに・・・何でなん?

ただまぁ・・・皆が喜んでくれたりしてくれている訳だし。それはそれでまぁ良っかと思うけど・・・


「むぅ・・・夜人くんは色んな女に優しすぎる」


「そんな事ないよ・・・」


「いえ、私も同僚との報告交換を行う度に思いますが・・・夜人様は間違いなくこの国でTOP3に入る優しい男の子だと思います。」


「TOP3って・・・」


俺の今のレベルでTOP3だとしたら・・・この国の男は本気で終わっている


「麗お姉ちゃんっ!!それは間違ってるわっ!!」


「月お姉ちゃん・・・(トゥクン)」


流石は月姉さんだ・・・

俺が男たちに絶望しかけたタイミングで助け舟を出してくれるなんて・・・

流石俺の彼女っ!!サスカノだっ!!


「夜人くんの優しさは世界一なのよ!!この国どころか世界でも1番よ!!それに加えてカッコよさ、可愛さ、頭の良さ、あざとさ・・・もうっ!全てが世界一なのよ!!!」


やっぱりなぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


最早その流れはお約束だよっ!!!

今時、吉本山新喜劇でもやらないネタだよっ!!

流石、俺の『結婚を前提で交際している彼女』、略してサスカノだよ・・・


「はぁぁぁぁぁ~・・・」


俺を尻目に俺が優しいと盛り上がっている麗さんと月姉さんを眺めながら、俺は一人で深い溜息を付いた・・・



「・・・それでは、私がリストアップした合気道を行っている道場をご説明いたします」


帰宅して風呂に入り、晩御飯を食べ終わったタイミングで麗さんを対面に据えて俺と母さん、月姉さんは俺が行くかもしれない道場の説明を受ける事になった


「合気道という『守り』を主体とした武術故に、数自体は正直あまり御座いませんでした。この県内で約10・・・空手道が50近くもある事を考えるとやはり少ないと言わざるを得ません」


「「「・・・・・・」」」


「その中から車で30分以内に行ける道場となると4つのみ。更に時間指定を受けてくれたのが3つのみとなります。」


つまり俺は3つの道場の説明を受ける訳か・・・どんな道場があるかワクワクしてくるな


「先ずコチラの道場は・・・【完殺応酬流合気道】です」


はいアウトーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!


もう名前がアウトッッ!!!!

チラシを見る気も起きない程にアウトッ!!!!


「こちらは襲い掛かってきた相手の息を完全に止めるという事を信条とした流派です。・・・襲い掛かって不埒者を再犯させるリスクという意味では1番低くなるでしょう」


「悪くないわね・・・」


「うん」


嘘っ?!!

俺の中では一番有り得ないんですけど?!!

意外にも母さんと月姉さんは納得している表情を浮かべている・・・


嫌だよっ!!

自分の手で悪漢と言えども息を止めたくないんですけどっ?!!


「はい・・・私も個人的には1番良いとは思っています。ただ・・・その分練習内容が一番厳しくなっており、乱取りもそこそこの頻度で行っております」


「無いわね・・・(乱取り)」


「うん(乱取り)」


あ、練習が一番厳しい所は無いんだ・・・

確かに母さんは俺のケガを一番心配してたもんなぁ・・・


「そう思いまして・・・次はこちらです」


そう言いながら麗さんは2枚目のチラシを出してきた

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