第25話 圧倒的強者感
「・・・夜人くん」
「は、はい・・・」
ご理解頂けるだろうか?
固有名詞を発するだけで理解できる圧倒的強者感わからせ感・・・
否応なしに『YES MOM!!』と言ってしまいそうになる圧
さっきも同じ様な事を言ったが・・・母さんとは違い、そこに親目線の優しさ等は一切感じない
「夜人くんは・・・私と結婚するよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
月姉さん・・・いや天使・・・いや月姉さんが訳の分からない事を言ってきた
今この場の雰囲気で「パパと結婚する~」みたいなホノボノとしたやり取りは相応しくない
月姉さんは何処か壊れてしまったのだろうか?
「私と結婚するよね?」
「えっと・・・月お姉ちゃん。僕たちは姉弟だよ、ね?」
「そうよ」
此処で実は血が繋がっていない義姉でしたみたいな設定はお呼びでない
だがそこを確認しなければ次のステップへ移行できない
「僕と月お姉ちゃんは・・・一緒のお母さんからうめれてるよ、ね?」
「それが問題あるの?」
いやいやいや・・・問題大ありでしょうよ?!
コッチの世界でだって遺伝子はあるでしょうよ?!
ホノボノとした結婚する~のやりとりだったら喜んで応じていたが・・・今はその限りではない
「夜人くんが2歳の時に結婚するって言ったもんね?」
「・・・・・・・・・」
言った・・・確かに言ったよ
確か家でおままごとしていた時に天使が「お姉ちゃんと結婚して?」って言われて「良いよ~」って言った覚えがある
でもそれこそホノボノとしたシチュエーションでのやり取りだと思うだろ?!
「夜人くんは・・・私と結婚してくれないの?」
そう言った瞬間、目から涙が溢れ出てきている
ヤバイって!!!俺前世から女性の涙にはマジで弱いんだって!!
その対象が天使であれば罪悪感がヤバい程膨れ上がって来る・・・
困り果てながら母さんの方へ視線を向けると、不思議そうな顔で俺を見つめ返してくる
「夜人きゅんは月と結婚したくないの?」
「だって・・・僕とお姉ちゃんはお母さんが同じだから・・・結婚できないでしょ?」
「出来るわよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「夜人きゅんは月と結婚できるわよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハッ!!
一瞬思考が停止してしまった
え?何で?俺と月姉さんが結婚出来るの?
遺伝子大丈夫??
そんな事を考えていると母さんが補足説明するかの様に口を開く
「月と夜人きゅんは父親が違うから、結婚出来るの。同じ父母同士であれば結婚出来ないんだけどねぇ~」
「・・・・・・・・・そうなんだ」
道理で俺の髪色が違う訳だよ・・・
詳しい事はまた調べるかもしれないが、詰まりはこの世界では俺と月姉さんは結婚できるらしい
因みに流石に実の母親とは結婚出来ないと母さんはガッカリとした様子で再補足してきたが・・・今はそこはスルーしておこう
「でもね月、もし夜人きゅんと月が結婚するとしてもこれから先は夜人きゅんのお嫁さんは確実に増えるわ。女として嫉妬するのは仕方ないかもしれないけれど、それを認めないという様な考えはダメよ。」
「・・・・・・・・・うん」
え?!俺お嫁さんが増えるの?!と思ったが確かに納得だ
俺はこの世界で生き続ける限り、最低5人のお嫁さんと結婚しなければならない
それが義務だという事であれば義務を履行しない俺には何らかの罰則が付与されるんだろう・・・
そこら辺の知識がまだまだ足りてないな・・・等と考えながらも目の前の脅威は過ぎ去った訳では無い
俺は暫し思案した後に「月お姉ちゃん」と名前を呼び掛けた
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