第12話 絵は見るモノでは無く感じるモノらしい
「うん・・・まぁ悪くないんじゃね?」
一心不乱にお絵描きした結果、お昼時間ギリギリに完成した家族の絵をチェックしてそう思う
元々絵心が無いという事くらいは自覚している
だが完成したソレは今までお絵描き歴でBEST3に入る出来栄えだ
(これだったら見た人も頓珍漢な感想をいう事は無いだろう)
「よ、夜人くん何描いたの?」
「僕も君の絵に興味津々だな」
「みみみみみ見たいですぅ」
「あづみちゃん、蓮華ちゃん、雪ちゃん。僕今まで外に出ることが出来なかったからね。好きなモノになるとどうしても限られちゃうんだ。」
うんうんと1人で頷きながら自画自賛していた所で同じ班員の3人娘が声を掛けてきたので自信満々で自分の絵を見せる
保育園児並みの画力ではあるだろうが、それでも保育園児の中では上手く描けた自信がある
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
だが俺の予想を裏切り、彼女たちは俺の絵を見て暫し固まっている
なんだろう?彼女たちには難解な絵だったのだろうか?
でも家族の絵なんて難解でもなんでもなくね?
「え・・・と・・・宇宙人、好きなの?」
「っ?!!」
また宇宙人っ?!!どう見ても母さんと姉さんと麗さんじゃない?
あ、女性が3人も描かれているから分からなかったのか
「違うよあづみ。これはペカソン後期をモチーフとしたこの世界を憂いている、けれど微かでも希望を持って生きる事の大切さを表現しているのさ。題名までは分からないけど・・・『パンドランの箱』じゃないかな?」
違いますけどっ?!!!
ただの家族の絵ですけれども?!!
ペカソンて!!パンドランの箱って!!
そもそもお題の好きなモノですら無くなってるじゃねぇか!!
「わ、わわ私は日曜日にやってる『ボウゲンジャー』の悪役幹部だと・・・おおお思うな」
『ボウゲンジャー』って何っ?!!
暴言吐きまくるの?!!
ヒーローなの悪役なのどっちなの?!!
それの悪役幹部って悪役なのかヒーローなのか最早分からんわ!!
「宇宙人!!」
「パンドラン!!!」
「あああ悪役幹部!!」
各々の感想を聞いて黄昏ていると3人娘は自分が正しいと言いあっている
どれも間違っているとは心のダメージも相まっていう事が出来ず、事の成り行きを見守っていた
「あれ夜人くん、私たちの絵を描いてくれたんだ?」
「お姉ちゃんっ?!」
背後から不意に姉さんの声が聞こえて振り返るとニコニコとした表情を浮かべた姉さんが立っている
「お姉ちゃん、どうしてココにいるの?」
「お昼の時間になったから夜人くんの様子を見に来たんだよ。それより・・・私たちの絵を描いてくれたんだねぇ?」
「うん、自分の好きなモノを描いてって先生に言われたから」
「っっ!!!夜人くんっっ!!!」
「お、お姉ちゃん?!」
そう答えると月姉さんは感極まった表情を浮かべると同時に俺をギュッと抱きしめだす
「もぉ~・・・夜人くんは・・・もぉ~!!」
「く、苦しいよお姉ちゃんっ!!」
声色から喜んでくれている事は理解出来るが・・・どんな表情を浮かべているのかは分からない
それに姉さんはまだまだお子様なために抱かれ心地も未だそこまで良くは無かった
だがまぁ・・・俺の絵を見て何を描いたか分かってくれたのだからこれ位は役得だと思って甘んじて受け入れよう
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