第11話 俺の周りがチートなんじゃね?
それから俺は同じ班の3人娘に連れられて砂場へ移動した
砂場で山とか・・・小学生低学年の時でも作ってないよなぁ・・・等と前世でも30年も生きていないのに童心に戻ってしまう
まぁ今は子供なので問題は無いだろう
それから数十分後・・・
「夜人くん、ごめんよ・・・限られた時間だとコレが精一杯だった・・・」
「うぅ・・・あともう少し時間があれば・・・」
「ご、ごごごごごごめんなさいです。」
俺は3人娘と共に同じクラスの女子たちに頭を下げられていた
申し訳なさそうにする彼女たちの背後には砂の山・・・それも俺の背丈とそんなに変わらない砂山が聳え立っていた
(いやいや・・・大きすぎない?)
言葉に出していないが内心ドン引きだ
彼女たちは俺を砂場に誘導後、同じクラスの女児たちに声を掛けてクラス一丸となって砂山作成作業に取り掛かっていた
ある女児たちは四隅から砂をかき集め、ある女児たちは地中深い砂を下地に作成しだし、ある女児たちはそれを絶え間なく補強していたのだ
まるで1つの工事の工程を見ている様で・・・幼児が作って良い高さじゃねぇわ
「み、みんなスゴイね!!僕こんなに大きい砂の山を見たの初めてだよ!!!」
「っ!!!ほ、ほんと?ほんと?ほんと?」
「良い・・・コレは・・・良いね・・・」
「ううううううううう嬉しい」
俺が噓偽りのない感想を口にすると三者三様・・・違ったモモンガ組の女児全員が心から喜んでいる
何だったら涙ぐんでいる娘もいるくらいだ
本当にチョット、僅かに感想を言っただけにも拘わらずここまでの騒ぎになる光景を目の当たりにして俺自身の認識がまだまだ甘いという事を痛感させられてしまうのだった
◆
「はい、それでは今からお昼までお絵描きをします。お題は好きなものを描いてください。好きなものだったら何でも良いですからね!!」
朝の自由時間が済んで次はお絵描きの時間らしい
保育園らしく描くものは多岐に渡る・・・渡るのだが・・・
(好きなものねぇ・・・)
大人になるとその応用力が中々効かない
というかそもそもこの世界に来て今日が初めて外に出た俺にはそのテーマだとどうしても一択になってしまう
(家族・・・だよなぁ・・・)
大人だったら酒とか描いていたかもしれないが(※アル中ではなかった)、生憎3歳の身体で酒を描く勇気はない
それに今の俺だと家族以外に特に好きと言えるものは無いのだ
(となると母さんと姉さんと・・・麗さんもだな。)
既に麗さんは俺にとっては家族だ
産まれた時から四六時中傍についてくれていたのだからそう思っても仕方がないだろ?
母さんや姉さんよりも麗さんと過ごした時間の方が長い分、これは致し方ないだろう
描くものが決まれば話は早い
俺は持って来ていたクレヨンの肌色を手に取り輪郭になる部分を描く
賢明な諸兄は此処で俺が滅茶苦茶上手く描くのか?
それともわざと下手くそに描くのかとお思いだろう
だが残念っ!!俺は本気に描いても下手糞なのだっ!!!
前世で犬を描いたにも拘らず、『手を捕まれている宇宙人?』と友人に聞かれたときは思いのほか胸にクるものがあったが・・・
詰まり俺が真剣に絵を描いても保育園児にすら劣る可能性は十二分に有り得るのだよっ!!
俺は意気揚々と輪郭部分を塗りつぶしながらチラッと周りを見渡す
すると班員の3人だけで無く、モモンガ組の女児全員が一心不乱に描いていた
(子供だけあってやっぱり決めるのが早いなぁ・・・)
俺はそんな事に感心しながら先ずは母さんから描き始めた
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