第10話 なかなか独占欲の強い天使?
「夜人くん駄目じゃないっ?!!」
「Oh・・・」
何の説明も無しに烈火のごとくプリプリと怒り出す姉さんを前にして思わず英語が出て来る
というのも、姉さんが怒り出す理由が全く分からない
「お、お姉ちゃんは何で怒っているの?」
「っ?!!夜人くんは分からないの?!!」
「うん、分からない・・・」
だって目が合ったから微笑んで体操しただけで怒られるって・・・何処に怒られる要素があったのか皆目見当が付かない
そんな俺の様子を見て本当に理解出来ていない事を察したのだろう
姉さんは深く息を吐いた後に説明してくれだした
「夜人くん、さっき私と目があった時、何したの?」
「え?お姉ちゃんがいたから笑ったよ。」
「それっ!!それが悪いのっ!!!」
「えぇ~~・・・」
まさかの笑顔ダメ出しである
俺は天使を見つけても微笑んではいけないのだろうか?
天使を前にして無表情な顔でいれる奴なんざ前世でも殆どいないぞ・・・知らんけど
「あのね、夜人くんはカッコいいのっ!!カッコいい男の子が笑ってるともっとカッコいいのっ!!」
「あぁ・・・うん。」
「すると私に笑ったとしても周りにいた女の子も夜人くんの事好きになっちゃうの!!!」
「えぇ~~・・・」
自分がカッコいいかは別にして・・・まぁ確実に前世よりは整っている自覚はあるけどさ
それにしてもこの世界の女の子、チョロイン過ぎん?
「だから夜人くんはお家以外では笑顔禁止っっ!!!」
「えぇ~~・・・」
そりゃ無茶ぶりだぜ?って言いたい
俺だって面白い事があれば笑うし、哀しい事があれば泣くのだ
無表情で居続けるのは不可能だ
それにそんな無表情な人間になって友達が出来る気がしない・・・
「あと夜人くん、あの体操もっ!!」
「え?・・・僕下手っぴだった?」
「違うのっ!!上手なのっ!!上手すぎるのっっ!!!」
「えぇ~~・・・」
「あんなに上手な夜人くんを見たら、みんな夜人くんを好きになっちゃうのっ!!」
まさかの上手での駄目だしである
ていうか、小学生の時は足が速い子はモテていたが、保育園では体操が上手だとモテるのだろうか?
そんな疑問が湧き出て来るが、天使がいうのならばその通りなのかもしれない
「あのね、男はいるだけでスゴいのっ!!夜人くんはスゴイのにカッコいいし優しいのっ!!そんな夜人くんをみんな好きになっちゃうのっ!!」
俺は多分困惑した表情を浮かべていたのだろう・・・
姉さんはたどたどしくも俺の疑問に答えてくれる
成程・・・この男女比1:10の世界では男は貴重だ
そんな貴重な世界で俺はイケメン(?)で笑顔を見せる様な、より稀少な存在だという訳だ
逆説的に言うのならば世の男は笑顔を見せないブ男(?)という事になるが・・・そんな事ある?
これが男女比1:1000の世界だったりするならば理解は出来なくはない
ただ此処は1:10の世界だ(約1:11だけど・・・)
中学校だったら1クラスに3人から4人は居る状態でそこまで出来るもんなのか?という疑問が湧いてくる
「よ、夜人くんっ!!一緒に砂遊びしない?」
「君の為に僕が大きな山を作ってあげるよ。」
「わ、わわわわわ私はトンネル作ります。」
そんな思考に陥っていると不意に自分を呼ぶ声が聞こえた
振り返ると同じ班のあづみちゃんと蓮華ちゃんと雪ちゃんだ
気が付けば自由に遊ぶ時間に移行していた様で皆ボールで遊んだり、花に水をやったりしている
・・・まぁ、俺の方をチラチラと見ている視線もかなりあるが
「うん、良いよ。じゃあお砂場に行こっか。お姉ちゃん、また後でねっ!!」
俺は思考を切り替えるべくそう言って姉さんに声を掛けて砂場へ向かっていった
その時に「夜人くんが・・・夜人くんが・・・」と呟きながら呆然とした表情を浮かべる姉さんは見なかった事にしてしまった・・・
ゴメンよ、姉さん
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