第6話婚礼と確執
それから一年後私は、嫁ぎ先に馬車で
アルスのいる国へと向かった。
アルス体の調子が思わしくないと聞いた。中にはもう余命が長くないと言う噂まで…心配だ。
この国ブリジットは、魔法が一部の人が使える。私達とは、また異なる魔法。
その違いは、戦闘に特化した魔法。
ある言い伝えによると、我が国アルティクスの王族の1人がこの国を作ったとも言われている。
それでも発展しないのは、資源がないのと、魔法が使える人と、使えない人の間に内乱が起きたからだ。
アルス出会い仲良くなれたのもそのため。お父様はその能力を欲していた。
よく来たね。とアルスが笑顔で迎え入れてくれた。表情はやはり顔色が悪い。
アルスありがとう。と微笑みながら礼をした。
婚礼の計画について話し合いののち、正式に結婚式をする。
アルスの母は、原因不明の病に倒れたの。その時は皆悲しみに浸った。
特にアルスのお父様のショックは、計り知れないものがあったそう。
今は国政にも全く興味がないようだ。それを抜け殻の様に変わったと言う人もいる。
今はそのアルスのお父様にご挨拶に伺った。
良く来たな、おめでとう。アルスが選んだ人なら、きっと素晴らしい女性であろう。まぁ、息子のことよろしく頼む。と棒読みな感じで王様は言った。
はい、ありがとうございます、オスカー様。
アルス様と共にこの国に貢献できる様に精一杯努力致します。と私は言った。
まぁ早く孫が見たいな、まだそんな歳ではないが、それまで生きて行けるといいが…とオスカー様は言った。
まだ父はその様な歳ではありません。私より長生きして下さい。とアルスが言った。
ふ…言う様になったな。私の息子も立派になった。まぁ挨拶はこれぐらいにして、食事でもしよう。と王様は提案した。
2人のやりとりを見て私は心で涙した。それは親子愛って良いなと感じたからだ。
国政には興味ないと聞いたけど、人として温かみのある人だなと思った。
紹介しよう、弟のダロムだ。でも以前何度か会ってはいるよね。とアルスが言った。
弟のダロムです。お見知りおきを。と礼をして彼は言った。
彼の印象は好青年で美少年と言ってもいい。けれど…何か冷徹な鋭い眼光ををしている。
アルスも美少年でそれでいて柔和な顔をして、目も穏やかな感じをしているのとは、兄弟でこうも違うなんて。
と私は思った。
ダロム様、セレナです。以後よろしくお願い致しますと、私は礼をした。
あなたの噂は聞いております。あなたの能力はまるで役に立たないとか?
兄弟でまるで能力の差が出るのは、同情致します。とダロムが目を瞑り頭を横に振りながら言った。
はい? と私は聞こえたが、それでも聞き間違いかと、もう一度私は尋ねた。
いえ…この場で言う事ではありませんでしたな。聞かなかったことに。とダロムがアルスを見ながら言った。
ダロム、今なんと言ったのだ?
我が妻になろうとしている方に無礼ではないか? とアルスが叱った。
申し訳ありません、兄上。口が滑ってしまいました。私と兄上との境遇が似ていたものでつい。とダロムが言った。
境遇? 一体どう言う意味だ?
何が似ていると? アルスが続きざまにダロムに質問をした。
ふふ…特に深い意味はありません。それよりも、今は婚礼の最中。議論をする場ではありませんな。とダロムがアルスを一瞥して言った。
そうだな、その件は後で話そう。とアルスが応じた。アルスの表情はかなり怒りに満ちている様に見えた。
では私はこれで失礼致します。とダロムが言ってこの場を去った。
何よあれは…確かに私の能力が姉様と比べたら…役にたた…ないかも。でもこの場で言うなんて失礼しちゃう。と私は心で怒った。
それにダロムがアルスを見下してるような、そんな感じを私は抱いた。
何かこの場の雰囲気が暗くなった気がした。
王様は無反応なのも気になる。ダロムには何も言えないのかしら? と少し私は不安を抱いた。
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