第5話姉妹の誓い
ふむ…そのようだな。出来ればセレナ嬢を迎えたくなったんだが、許嫁がおるんだったな?
とバラゴン国王が質問した。
はい…アルス様と婚約しております。と私は答えた。
それは残念だ。
しかしうちの息子が納得するかは分からん、結婚に関しては息子は、熱心だったと思うが。
まぁそこは私が責任持って説得するか。とバラゴン国王が気まずそうに呟いた。
…果たしてそれで良いのだろうか? と私は考えた。親子の軋轢を生むのではないか? と。
私が説得すると名乗りでるべきなのか…それは、また複雑な問題を生む可能性がありそう。
なら第三者に任せる? でも信頼出来る人がいない…ならやはりバラゴン国王に頼むしか…現状での選択肢はない。と私はあれこれ考えていた。
ふぅ…ここに来て重い問題が…2人とも結婚に反対なら何も問題はなかったのに。
当事者が片方だけ結婚に賛成…気は進まないけど、お願いするしかない。
バラゴン様お願い致します。と私は頭を下げ言った。
分かった。ではこの話は終わりにするか。これからの関係について話をしたい。とバラゴン国王は言った。
話は終わり、私達は国に帰る準備をした。
良いのか? お前が話をした方が上手く説得出来たとわしは思うがな。とお父様が苦言を呈する様に言った。
分かりません。どの選択肢も難しいのです。それに…私バラゴン国王様のご子息な事、良く知りませんし。とお父様に愚痴を言った。
そう全く情報がない。外交を全然してないのだろうか? 私の国はと思ったが、まだ私は15歳…知らなくて当然とも思った。
バルトス国の王室にて
父上何故勝手に結婚を取りやめになったのですか? とマーカスが詰めいるように聞いた。
不満か?
と国王が聞いた。
当たり前でしょう。大陸1の美人であり、能力も過去を見と通せる力があるのですよ?
それを破断にするなど、愚かな決断です。姫を手に入れれば世界すら手に入りましょう。とマーカスは鋭く言った。
過ぎた力を持てば破滅するぞ。お前はその力を手に入れて、どれほどの民を犠牲にして、世界を手に入れるつもりだ?
と国王は叱責する様に言った。
くっ…最初は賛成して癖に…分かりました。何を言っても聞きはしないでしょう。失礼致します。とマーカスは引き下がった。
宜しいので? と側近のルーランが聞いた。
ふん、父には何を言っても仕方ない。そのうち亡くなれば俺の天下だ。この事は後悔させてやる。とマーカスは怒りに満ちた口調で言った。
ルーラン!
三女に父が言いくるめられたらしい。結婚を破綻させて、国を貶めた無能と噂を流せ。このまま黙ってはおれん。とマーカスは命じた。
承知致しました。とルーランが言った。
セレナの視点に戻る。
私は馬車に乗り帰路に就く。
景色を見ながら普通の生活をしていたら、どうなっていたろう。幸せになれたかな。と思い悩んだ。
今の生活に嫌気がさしたわけではないけれど、やっぱりそういう妄想をしてしまう。
疲れて少し眠りたくなってきた。
いつのまにか眠っていて、自国に戻ってきていた。
馬車から降りると入り口に女性の綺麗な案内人が我が国アルティクスの説明をしていた。
この国の名前はアルティクスと言い、緑に覆われたとても富裕な国でございます。
豊富な資源もあり、他国にも多くの援助をしていました。そのおかげもあり、他国からの信頼も厚いのです。
そして大国バランティウスと同盟を組んでおります。
もし他国に侵略されそうになっても、助けれてくれると言う訳です。
つまり、大変平和な国家であります。と案内人が説明した。
何が同盟だよ、植民地の間違いだろ? 案内人に誰かが言った。
誰ですか? そんな事ありませんよ。むしろバランティウスの方から援助等頂いてるので、その指摘は間違いですよ。と案内人が反論した。
興味深いけれど、今は早く姉様に会わなきゃ。とその場を後にした。
私は帰ってきて早速、姉様に政略結婚は無くなったと知らせに行った。
姉様の部屋のドアをノックし、姉様入っても良いでしょうか? と私は聞き、許可を貰い部屋に入った。
そしてすぐに政略結婚解消されました。と姉様に告げた。
その知らせを聞いたライナ姉様は、驚きに満ちた表情で、私を見つめた。
本当に?
それは大丈夫なの?
信じられないけど…信じていいのね? と涙を薄ら滲ませた目で私に問いかけた。
もちろんよライナ姉様、バラゴン国王と話し合って決まったの。無事解消されたから安心して。と私は心を込めて伝えた。
あぁ、私あなたに感謝してもしきれないわ。あなたの様な妹を持って幸せよ。
好きな人と結婚出来る人生を歩めるなんて…と姉様は泣きながら私を抱擁した。
私も姉様の腰に手を当て2人で泣きながら、語り合った。
私、頑張って良かった。ライナ姉様が幸せになれたら、私1番幸せだから。とそれは、私が姉様に尊敬の念を抱いているから。と心からそう言った。
ありがとう。2人で政略結婚なんてせずに幸せな結婚しましょうね。とライナ姉様が私の髪を撫でながら、誓いを立てる様に言った。
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