第3話正義と権威の間で

では、政略結婚についても言わせて頂きます。姉も国民の1人です!


多少の犠牲はやむを得ない論は、否定されなければなりません。と私はお父様に激しく主張した。


それは個人の自由と権利、好きな人同士の当たり前の、合意の結婚。


これなくしては、破滅します。それは歴史を見れば一目瞭然ではありませんか?


政略結婚した後にその家は繁栄しましたか?結局無名になったではありませんか?


私が言った歴史の話を返されるとは…とお父様は呟いき、咳払いをした。



それはその国の問題だろう。一概に否定は出来まい?

無名と言うが、私は一時的な名声や地位の為ではない。国の、国民の繁栄の為だ。


その結婚が無ければ関係も厳しくなるだろう。




政略結婚などなくても、他国と関係強化は出来ます。


そんなもの必要とするほど、外交は簡単なものでしょうか?


確かに外国はそんな、簡単なものではない。だが結婚により、その国と家族の関係になる。

つまり相互の信頼関係を築けるのだ。


我々王族は責任や義務がある。


経済や文化交流など、様々な利点があるのに、それを個人の我儘により、否定されるのは、義務を果たしていないのではないか?



それこそ話し合いで解決されるべき問題です。政略結婚をして、もし、どちらか先に亡くなったら?


その場合また、大変な事になるのは歴史が証明しております。


乗っ取り下手をしたら、私たちの国に攻め込むかも。

例えば私達の国が、暗殺したと因縁をつけられたら? 

どうしますか?


結局それでは何も解決しません! 確かに政略結婚はリスクがある。だからと言ってそれを恐れてしないのは、国家の損だ。


その考えはギャンブルで、一攫千金を狙うのと一緒です。


リスクがあるけども、楽をしたい。なのでリスクを取る。

そうでは無く、楽をせずとも、難しい外交というきちんとした手続きを踏んだ、まともな方法を取るべきです。



それは…うむ。


しばらくの静寂の中、沈黙を破ったのは、エレノアだった。


哲学者みたいで2人とも格好いいです。とエレノアが拍手した。


それに、王様が何も言えないなんてお嬢様凄いです。

良く分からないけど、私も政略結婚は嫌です。


ふん、メイドのお前に政略結婚の価値などないわ。


お父様エレノアに冷た過ぎではないですか?

価値がないなんて。



それは私が妾を断ったからだと思います。とエレノアが少し声を震わせて言った。


最低酷いゲス!

耳を疑うような事を告げられ、私は怒りのあまり声を荒げて言った。


エレノアは愛くるしい顔をして、性格が天使の様に優しい。それで、お父様に狙われたのね。と私は推察した。



国民の為に権力欲しいだなんて言っといて、そう言う事する為に権力欲しいんじゃないんですか?


おいそこまで言う事ないだろう。

それに、貴様そんな事を喋るなんて、メイド失格だ。首になっても仕方ないぞ。



わぁ〜お嬢様助けて下さい。


エレノアが私に抱きついて来た。


お父様、権力や富だけで、女性を意のままにしようなどと、侮り過ぎです。


エレノア、良く勇気を出して告発してくれたわ。その誘いも断るのは勇敢だわ。


お嬢様…はい。


なんだ親に向かってその口の聞きかたは?

とんでもない娘だ。


親の卑劣な行為を非難するのは、いけない事でしょうか?

子供は親が批判されるようなことでも、黙っていろと?



非難される行為とは、エレノアに対して、断られた事を根に持ち、冷たい態度で接する。


また告発した事を首にすると脅す言葉を吐く。これは充分に非難される行為ではないですか?

お父様は私に見て見ぬふりをする者になれと教育したのですか?



そう私が言うと、お父様の表情は、顔を真っ赤にし膨らんだ。


お嬢様ありがとうございます。王様にそこまで言っていただいて。尊敬します!

一生ついて行きます。とエレノアは、私に何度も頭を下げた。


いいのよ、当たり前のことを言ったのだから。と返事をし、エレノアの髪をそっと撫でた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る