(三)

 敬神党の侍たちはこの世にあるありったけの罵詈ばりと、考え得る限りの雑言ぞうごんを、銃を向けてくる陸軍の兵士に対し、腹の底の底からの大声で叩きつけた。

 ちぐはぐな制服の陸軍兵士たちの前後二列横隊の横で、仕官の兵士が右手を上げた。

 二見はそれに気づき、地面に飛び込むように横へ飛んだ。

 次の瞬間、仕官の兵士の腕が振り下ろされた。そして発砲音が鳴り響いた。


 二見は腹ばいの状態から起き上がり、後ろを振り返ると、多くの侍たちが銃で撃たれてその場で倒れていた。

 撃たれることを免れた侍たちの何人かは、激高して兵士に向かって走り、斬りかかろうとした。


(続く)

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