人形のような整ったお顔の美少女が一緒に暮らすことになったので、よろしくお願いします。

第32話 昔馴染みの男は胸の趣味が完璧だ

「おい、第一試合、どこのクラスとだった？」

「三年生とは、決勝トーナメントまで当たらないぞ！」

「まじかっ！」

「でけぇ！」

　何がでかいのだか、結局決勝トーナメントで当たるんだから、いちいち考えてても仕方ないだろう。

　まぁ、グループ戦で2位以下は決勝トーナメントに出れないから、それだけは阻止したいってことか。

　逆に三年生と当たらなければ、決勝に出れる。

　そう思って油断して、グループ戦敗退となれば、俺はバスケに出ることなく、この球技大会を終えれる。

「お前の思っている通りにはならねぇよ」

「なっ？！　びっくりしたー、勝手に出てくんな」

　にゅっと後ろから出てきた明人に驚きながら、俺脇腹を弱めに小突く。

「俺が何を思ってるって？」

「どうせ、初戦敗退とか考えてたんだろ？」

「初戦敗退もなにも、グループ戦だから、総当たりだろ」

「最初はな？　決勝トーナメント行くんだよ」

「凄い自信でございますな」

　俺が皮肉交じりにそう言うと、当たり前だろ笑いながらと返してくる。

「優勝目指してんのに、負けると思って戦う馬鹿が居るかよ」

「本当、前向きというか、ポジティブの塊というか」

「よせよせ、そこまで褒めるな」

「――――あっ！　脳筋ってことか！」

　俺がそう言うと、明人に首根っこを掴まれる。

　痛い痛い。やっぱり脳筋か？　コイツ。

「なんか言ったか？」

「――――はい、のうき……」

「それ以上言ったら、お前の首がどうなるかわかるよな？」

　なんだその、バトル漫画の弱そうな盗賊みたいな発言は……。

「はい、すみません」

「よし、よろしい」

　俺が謝るとすんなりと解放してくれた。

　まぁ、なんだかんだ心の優しい奴だよ。

「練習も混ざってない俺を決勝トーナメントで出さないように頼むぞ」

「そうしたいのは山々だけど、怪我とか体調不良に関してはどうにもできないからなぁ……」

「う……そ、それはそうだが……まぁ、俺も体調不良になる可能性もあるしな」

　こういう時はお互い様。

　サボりじゃなかったら、俺は許そう。だがもしサボりだとしたら、ソイツのことを2週間くらいは恨む。

「まぁ、お前が居れば大抵の試合は安パイだろうな」

「おいおい、先輩に向けてそれ言えんのか？」

　ケラケラと笑いながら、行ってくる。

　しかし、自分が褒められたことを知って、悪い気はしてないのか、止めようとはしてこない。

「そりゃあ、先輩のプレーとか見てないけど、お前の噂はちょくちょく聞くからな」

「噂……？」

「ちっこい奴が言って来るんだよ」

「ちっこい……あー！　悠里か」

「そーだよ」

　俺はそう言いながら、背伸びをする。

　ドッジボールの第一試合までもうすこし時間があるので、教室に限界まで入り浸ることにした。

「お前もまずは自分の種目に全力を注いでくれよ？」

「全力って……」

「なんだ？　まずは補欠で出るかもわからない種目より、確実に出る種目のことを考えろ！」

　コイツ、なんかの漫画の主人公かよ。

　熱血すぎる。あれ？　明人ってここまで真面目だったか？

　中学の時に俺と女子の胸について話あっていたあの時の明人はもういないのか……。

「なぁ明人？　一つ聞いてもいいか？」

「どうした？」

「お前は巨乳派か？　それとも貧乳派か？」

「俺は巨乳が好きだ、しかも整っている美乳タイプでだ」

「ようし、やっぱりお前は変わってなかった」

　男として完璧な回答だった。

　俺はあの時の明人がまだここにいることに感謝をして、明人と握手を交わす。