第12話 週末はカレー曜日(2)
「君を連れ去りにきた――けれど……」
嫌われてしまったかな?――と首を
しかし、彼の目的が分からない以上、
「
私の問いに対し、
「ああ、名乗っていなかったな。俺の名は『リュート』」
君を必要としている魔法使いだ――と答える。
綺麗な顔の青年にそう言われて、悪い気はしない。
だが、
色々と情報を隠しているのだろう。少しずつ、探っていくしかない。
リュートは
口付けを――という事だろうか?
調子に乗りすぎである。もう一度、
私がそう考えたのも束の間、彼は突然フラフラとして床に倒れた。
一瞬、
大変!――と私は急いで
やはり、綺麗な顔をしていた。
(いや、そうじゃなくて……)
確か、私のように資格のない者が【無限書庫】に立ち入るためには『代償が必要である』と聞く。
探し求めていた人物である私と出会って、気が
そう考えると、先程までの無礼は『許してあげよう』と思ってしまう。
私も単純なモノだ。これが私『エレナ・グラキエス』と魔法使い『リュート』との最初の
それから、彼の目が覚めたのは数時間後である。
丁度、夕飯時だ。
(まあ、決めるのは私の腹時計なのだけれど……)
外の時間の流れは【無限書庫】にある案内図や
ご親切に更新されており、常に増築されているのが分かった。
ただ、不思議な事に最近はその更新がない。
外の世界で
リュートが来たことに関係していそうだ。
私は目覚めた彼に「食欲はあるのかしら?」と確認をした。
彼は自分のお腹を
「そう言われると、
と
食べることに対して、
私も完全に彼を信用したワケではないが、取り
――だから、私は問う。
「
イメージするモノは常に最強のカレーよ――彼の返答を待たず、私は意識を集中させる。初心者である彼には難しいかもしれない。
だが『カレーを食べる!』とは、そういう事だ。
「外敵などいらない。
想像しなさい。うだるような暑さが続く夏の天気。
焼けるような日差しの中、
スパイスカレーはいかが? 何種類ものスパイスを組み合わせて作るカレー。
きっと、奥深い香りと味わいがクセになる。
具材は
あら? 卵を乗せたキーマカレーも
それなら、チーズを合わせることで、新しい魅力を発見するのも手よ。
タンパク質を
でも今の
定番のビーフカレーが、暑さに負けない身体を作ってくれるハズよ!
基本は4つのスパイス――『クミン』『ターメリック』『コリアンダー』『レッドペッパー』。
時間を掛けて煮込んだ牛肉は柔らかく、こくのある味わい。
一口食べれば、不思議と食欲が
「問おう。
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