第二章 始まりはカレーライス
第9話 草本性なので野菜に分類されます(1)
これは私と陛下が出会った時の話だ。
【無限書庫】に
「もしかして、私って人間?」
正確には、人間と魔族の
周囲の魔族と同じように魔法が使えないため『おかしい⁉』とは思っていた。
ふと思い立ち、私は父『ソリコミー』の過去について調べてみた。
精霊たちにより、あらゆる出来事が本の形として保管される【無限書庫】。
星の記憶が集積されたこの場所で、分からない事はない。
ただ、調べるにはコツがいる。
目的の本を探し出すだけでも一苦労だ。
私が調べようと思った
『永遠』とも思える時間の中『自分の事について調べてみよう』という考えに
自分の出生について、父と母の出会いについて、両親の若い頃について――
そして運良く、父の過去について書かれた本を見付けることが出来た。
どうやら父は若い頃、人間の国で消息を絶っていた時期があるらしい。
(ここからは私の推測になるのだけれど――)
つまり、そこで母と出会い『恋に落ちた』という事ではないだろうか?
だから、二人の子供である私は魔族でありながら、魔法が使えないのだ。
そういう結論に
「まあ、今更それが分かった所で――」
私が魔法を使えないことに変わりない。
やはり――この書庫から出る――という願いは『永遠』に
そもそも魔法を使えたとしても、脱出できる保証はない。
外の世界から
それが【無限書庫】と呼ばれる異空間である。
精霊たちが星の記憶を保管しておく場所。
内部の造りは『歴史のある図書館』といった見た目だ。
過去から未来へと
未来へ進めば進むほど、造りが新しくなっていった。
また、本があるからといってカビ臭くはない。
本を
いや、恐らくは『情報=本』という形で、私が認識しているからだろう。
取り出しやすい『本』という形で情報が見えているようだ。
時の流れは止まっているかのようで、私が年を取ることもない。
当然、外部からも干渉されない安全な場所となっている。
しかし、
本は嫌いではないが、
ある意味『記憶の
よくもまあ、私の精神が崩壊しないで保たれているモノだ。
私が今
聖王歴でいうのなら一〇〇〇年ちょっとだ。
私の感覚で例えるのなら、馴染みのある近代風の造り。
魔鉱石による、芸術性の高い石造りの城と変わりない。
高い天井に堅牢な壁。重圧感のある本棚が等間隔に立ち並ぶ。赤い
回廊はまだ先へと続いている。本は様々な『時と場所』から精霊たちが集めてくるため、常に増え続けているらしい。
延々と増設される書庫は、まさに【無限書庫】というワケである。
侵入者のいないこの場所は、不用意に本を開きさえしなければ、命の危険に
私は日課である『お菓子の本』を取り出した。
レシピの本ではない。文字通り、お菓子が出てくる本だ。
今日は『イチゴ』の気分♪ 真っ赤に
そんな見た目の
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