第6話 薬草として栽培されていた(2)
「ゴメンなさい。今度、
と私は謝った。菜花を使った餃子もいいが、キャベツ餃子も捨てがたい。
実は料理長と相談して近々、餃子パーティーを計画していた。
「ぜんぜん反省していませんね」
アルテミシアは再度、溜息を
「大丈夫よ、餃子だけじゃなく、キャベツ焼きそばも考えてあるから!」
切り干し大根を使った焼きそばがあると聞く。
美味しいらしいので、
やはり、キャベツは万能である。
「エレナ様、そろそろ本題の方に……」
アルテミシア様が困っております――とイサベラに耳打ちをされた。
おっと、いけない! いつものクセで、つい話を脱線させてしまったようだ。
私の考えは単純である。
魔力の多い魔王領には、
放って置くと魔物が出現し、周辺に毒の沼や濃霧が発生することもある。
通常は迷惑な代物でしかない。
だが、それを『産業に活かせないか?』というのが、私の考えだ。
恐らくは、陛下も同じようなことを考えているのだろう。私が把握している歴史によると、
後は『天然の砦』としてや『居住区』などとして使われていることが
戦が終わった今――他に活用方法はないのか?――と考えるのは普通の流れだろう。
そこで魔石や鉱石ではなく、『土』そのモノに着目してみたワケだ。
食糧問題と併せて考えれば、その利用方法は一つだろう。
農業である。
まずは
魔力を豊富に含んでいるので『
日光で土を殺菌した後、
もしくは採掘してもらった
これにより、生産の効率を上げることが出来るハズだ。
また、
薬草となる葉物野菜の生産を視野に入れても良さそうだ。
上手くいけば、ブランド化も夢ではない。
世はまさに
ただ、そのためには人材の育成――つまりは研究機関――が必要になる。
「軌道に乗せるのは難しそうね……」
当面は安定した生産に重点を置きましょう――そんな私の言葉にアルテミシアは色々と考え込んでいるようで、
「『イルルゥ』、こちらに来なさい」
と彼女は妹の名前を呼んだ。
「はい、お姉様」
イルルゥと一緒にシグリダも駆け
「エレナ様、どうか妹を
とアルテミシア。その表情は真面目だ。
お願いしにきたのはこちらなのだが、
イルルゥも突然のことに戸惑っている。
私はイサベラを見たが『どうぞ、お好きに』という態度で澄ましていた。
(また、勝手な事をして陛下に怒られないだろうか?)
そんなことをイサベラに耳打ちすると、
「すでに色々と
と返されてしまった。ガーン!といった心境である。
まあ、手遅れなら仕方がない。
政治的側面に対して、補佐役がいるのは有難いともいえる。
シグリダは一生懸命だが、まだまだ半人前だ。
イサベラは補佐というより、私の護衛としての役割の方が『重要だ』と考えているのだろう。反対する様子は見受けられなかった。
確かに今後は
彼女を
「いいわよ、イルルゥ。よろしくね!」
と
「は、はい! こちらこそ、よろしくお願いします」
そう言って、勢いよく彼女はお辞儀をした。
仲良くなったのか、シグリダは嬉しそうにしている。
一方で提案したアルテミシアは、
「いいですか、イルルゥ」
と妹に
「エレナ様の発想は奇抜です。例え、
一言一句、わたしへ知らせるのです!――と妹の両肩に手を乗せた。
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