第9話 他の勇者達の動向

 「他の勇者達も、続々と魔王打倒の旅に出ているようですよ。」

 出発してからの最初の宿で、出発から数日が過ぎていた、賢者トマスが1時間かけて念話を、話自体は数分間だが、話ができるまでにようした時間であり、そのためにかなりの魔力を消費していたので、少しが疲れているように、当然のことだが、見えた。

 宿の食堂で四角いテーブルにシウンの一行は、椅子座り、食事と酒を取りながら聞いていた。

「ベアキャットは、どの辺なの?」

「気になるのか?」

「な、何を…そんなことは…。」

「シデンも責めているわけではないさ。気にするな。トマス殿、他の勇者達の…えーと、位置は分かったのですか?特に、ベアキャットの?」

 トマスは、首を横に振った。スピット達は少し残念そうな表情で、シデンはそれを見て、フン、という顔をしていた。

「どこにいる、進んだまでの話はありませんでした。ベアキャットのチームが、…彼が先陣を切るように魔界を進んでいるという情報もないですよ。」

「妙ですね。彼が魔王打倒の旅に出たということで、皆も動き出したというのに?」

「その通りなのですが…。」

 彼の位置と謎が多少、その日の午後分かることになった。


「勇者シウンのだんな、久しぶりです。」

 物資の補充のための買い物を終えて帰って来た時、宿の前で見知っている戦士から、声をかけられた。彼は、かなりの深傷を負っていた、治療すみらしく右腕は包帯で巻かれて、肩に紐で吊り下げられており、頭にも包帯が巻かれていた。

 勇者ヒエンのチームの剣士だった。彼よりかなり年上の、ベテランの髭の似合う一流のベテラン冒険者だった。

「どうしたんだ、あんたほどの者が?」

と驚くシウンに、

「あんたの所の美人さん達に・・・いや、以前だんなのところにいた美人さん達にやられたんだよ。」

そう言いながらも、恨んでいる様子はなかった。

「流石に、腕も超一流だったよ。あっという間にやられたよ、黒髪の長い嬢ちゃんだったかな。でも、何とか生きのびたのは、そっと治癒魔法を施してもらったおかげさ。」

 彼は豪快に笑ったが、直ぐに痛みを感じたのか、表情を曇らせた。

「ベアキャットと…。ま、まさか、ヒエン殿がやられたのですか?」

 彼女の実力は、よく知っていたから、驚くとともに、その可能性も大だと思った。

「勝手に私を殺さないでよね。シウンちゃん。」

 彼の後ろから、洗われたのは上質な木炭のような見事な黒い肌の美人だった。勇者ヒエンだった。決して華奢でも、小柄でもないが、勇者と言われなければ、愛くるわしい、本当の年齢よりずっと若いというが可愛い、美人戦士、美人冒険者としか見えない。

「とはいうものの、こんな格好では大言壮語などできないわね。よく、あんたは無事だったわね、あいつ、ベアキャットと闘って。」

 包帯を至る所に巻いていて、体の動きも悪いように見えた、こころなし。

「ベアキャットと…彼女達と…。申し訳ありません…。」

「君が謝ることではないわよ。それに、彼女達のおかげで何とか、ここにいるわけだから。と…、向こうのテーブルに座って話をしない?立ち話も何だから。」

 彼女に促されて、3人は近くの居酒屋に入って、席に座った。

「彼女達は、元気でしたか?」

 ついシウンは訊いてしまった。二人は苦笑しながらも、シウンもしまったと思ったが、

「元気だろうな…我々がこんなになったのは、彼女達のせいもあるから…。しかし…。」

 笑い顔から、一転して厳しい顔のになり、

「よくあいつに殺されなかったわね、あなた?」

 勇者ヒエンは、先輩として以上に、その人格、実力を高く評価していたシウンだったが、確かに彼女達が死にかけたという結果はわかるような気がした。同時に、何故自分は殺されなかったのかと疑問に感じた。いくつもの理由は考えられるが、それならヒエン達はどうしてとなるからだ。“あの時は、彼も相手を殺すと、ことが重大になる、と思ったからだと思っていたが…そうでないかも?”

 とりあえず、シウンは自分の時のことを詳しく説明した。同じことだった。ヘアキャットは、突然、決闘を申し込仕込まれて生じた一件。

「全く同様だよ。」

は勇者にヒエン。

「まあ、俺達はようはなかったら訳で、勇者様が持っていた聖剣が目的だったように思えたけどね。」

 そして、その後だった。

「そうなの・・・何となく見ている間に奴の力が膨れ上がっているように感じて鳥肌がたったけど・・・。とどめは、あなたの元超一流の嬢ちゃん達にまかせてくれたから・・・彼女達、気が付かれない程度に回復、治癒魔法をかけてくれたから、こうしてシウン殿と話しをしてられるわけだけどね。ああ・・・それから・・・彼女達、戦いぶりはともかく、やつれているようだったわ。」

「ああ、そういえば、あいつ、嬢ちゃん達を怒鳴りつけていたな、もっとしっかりやれとかなんとか・・・半分気を失っていたから、確実ではないけど・・・。」

「そうですか・・・。」

 彼女達のことが一番気になったシウンだったが、無理やりに押さえ込んだ。今はもっと重要なことを考えないといけないと思ったからだ。

「私にとどめをささなかったのも・・・ヒエン殿には自らとどめをさすべきだったでしょう・・・それをしなかったのは?それに、いかに隠れて、最低限に抑えても、ベアキャットや治癒・回復魔法の使い手にはわからないはずはないかと?」

「う~ん。わからないな。時間がなかったのかも?早くさせないと困ることでもあったか?私が見た、感じた奴、気を失う前だが、は完ぺきだったが・・・。」

「そうですね。」

"あ、そういえば、あの4人の話の中に・・・。ペラケウス殿に相談するか。"

 

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