第8話 あの3人の謎

「う~ん、分からない、正直に言うと。ただ、考えられることは、あくまで、私の知識と経験からの推測だが。」

と治癒士、医者として雇われ、勇者に同行することを依頼されたパラケウスは、首を捻りながらも、答えになるかもしれないことを言い始めた。

「そういう種族の話は聞いたことがある。」

 彼は、民間の流浪の医者であり、治癒士であり、哲学者であり、錬金術師であり、魔道士だった、元々。正規の教育なく、各地を放浪し、知識と経験を重ね、各方面で名声を上げ、請われて、シウンのチームに加わることになったのだが、それは彼の好奇心をさそったからでもある。1人で、かなり危ないところも放浪したし、貧しい地域、彼はそこで僅かな料金で時には無料で医療活動をしたのだが、は治安が悪く、襲われた、彼が命を助けた連中の場合すらあった、ことは数えきれないほどだったが、彼は今生きていることだけでも勇者の魔王討伐の旅に同行する資格があった。

 ちなみに、賢者は全くのお手上げで、尊敬するパラケウス先生の知識を聞けると目を輝かせていた。“まあ、嫉妬しないだけでも…いや、旅でもめ事を起こさないでくれそうだからいいか。”

「正確に言えば、種族というより、ある一派の錬金術師が生み出したホモンクルスの一団なのだが…。」

 ちなみに、パラケウスはシウンの同時複数人への、しかも戦いながら、その上他の魔法も使っていながら、支援魔法をかけることに、好奇心満々で逆に質問攻めした後に、

「なかなか使い手はいないし、さらに目に見えて効果をあげられる者はその中の一部だから、分からないことが多いが、受けての側の体や魔法との相性はあると思える例は知っている。身体強化魔法をかけている時だからね、互いの魔法が接触というか、交わっているからね。それに、人にはほとんどの者は分からないくらいだけど、魔法耐性があるから、なおさらだよ。」

と立て板に水で説明してくれたのでシウンも、パラケウスのことはには目を輝かせていた。

「その集まりの中にいたかどうかは分からないが…、彼にはオーダーメイドと同様に作られたものかもしれないし、そこにいた連中を、誰かが調整したのかもしれない。時々、実体を感じさせる種類も、伝えられている。勇者ベアキャットとはあったことはなかったし、彼がそれに関わったという話は聞いていないよ。」

 シウンは、それでもパラケウスに感謝を捧げた、あまり役にはたたなかったとはいえ。“いや、少しは役にたったか?相手がホモンクルスか何かだということが分かっただけでも、これからのとっかかりが得られたからな。少しでまも得たら、パラケウスに、それを伝えれば、その次の進展のヒントを与えてくれそうだ!”と前向きに考えることにした。そんなことを思わせるものを、この40過ぎの男は持っていた。

「皆様は、これから旅の準備をなされていますか?」

とシウンは尋ねた。パラケウスは、まだ不十分だ、と言ったが、あと2人は十分だと答えた。かえってその返事に不安を感じたシウンが中身を確認すると、不必要な物は多いが、必要な物がなかったりした。

 ため息をついたシウンは、

「私の方で手配しましょう。賢者殿、金の方はよろしくお願いしますよ。」

 賢者が、この旅の資金番として、それを預かっているのだ。

「私の分も頼むよ、お二人さん。」

 パラケウスは、割って入った、全く邪気がなく、かつ遠慮が全くなかった。彼の場合は、種類がやたらと多く、

「?」

と思う物が多かったが、よく考えると必要になるような物ばかりだった。ちなみに、旅そのものに必要な装備は、流石に流浪の大賢者、錬金術師、医者、治癒士、魔道士…と幾つもの仇名のあるパラケウスらしく、完璧に用意していた。

「分かりました。何とか手配しましょう。」

とシウンは、苦笑しながら言ったが、他の二人のは多少犠牲にして、不自由させても、パラケウスのはできるだけ揃えてやろうと思っていた。

「それはありがたい。私もできるだけ、買い揃えるなどするから、あまり無理しなくても構わないから。」

と笑って言った。“こちらの頭の中が分かるのか?”と思ったが、不思議なことに、不信感などの負の感情は抱かず、かえって快いものを感じてしまった。

 数日後、シウンと5人の女達、そして、パラケウス含めた3人、さらに、その短い間にパラケウスに師事した魔道士、恩義を感じた騎士が加わっていた、が魔王討伐の旅に出発した。

 特に、華々しい、そして大げさなイベントもなくの出発だった。シウンの認定元がそれを望まなかったからだが、負け勇者の汚名返上やベアキャットの流したい中傷、他の勇者達の後援勢力との関係とか、色々なことが取りざたされた、シウンの知らないところで。

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