第5話 もう一人いたはずだけど?
「ふん…あいつの方が、情熱的な口づけだったよ…あ、あ~。」
「もっと、力強かった、こんなんじゃ…あ~ん。」
「このくらいじゃ…え、え、まだ…。」
「これで終わったと…え?…また?…。」
と言っていた4人だが、
「もう…やめて…。」
と言いながらも、体が反応してしまって、悲鳴をあげながら喘ぎ、そして、しまいには完全に涎を流しながらぐったりとなったのを確認して、シデンはシウンに抱きついてきた。
「やはり凄いな、主様は。まだ、大丈夫だろう?私ももう…。」
「大丈夫さ。お前は、こちらでも最上級だから。」
「奴隷にそんなことを言う主様は、本当に変わっているよ。」
その彼女も、長い執拗な口づけをしてから、彼の愛撫を受けて喘ぎ、動き、乱れて…ぐったりと仰向けになっていた。
「彼女達でないのに、俺は心身ともに喜んでいるんだよな…。」
「一度寝たからって、あんたの女たちになったわけじゃないから。」
とスピットは毒づいたが、後の3人は静になっていた。その日は、やはり彼の金で湯屋で体を洗った彼女らは、
「明日、パーティーとして初めての仕事をしてもらう。早く寝てくれ。」
の言葉に、
「は?」
という顔の4人だったが、余程昨晩疲れたのか、そのまま、自分の部屋のベットに横たわると直ぐに寝入ってしまった。
「なんか力を感じるわね、確かに。」
魔族の襲撃から村を護るという依頼。そのまま、魔族の1隊に臨もうとする4人に呆れ、偵察、作戦立案、装備・準備などに時間をかけるシウンに呆れる4人とその4人を見て、ため息をつくシウンとシデン。
戦いが始まると、それでも彼女らは、彼からの支援魔法、力のかさ上げをはっきり感じたし、彼が自分の戦いをしながら、彼女らを援護しているのを感じた。
「まあ、なかなか、やるというところか。」
シウンも、4人に感じていた。
「私の相手だよ。手出し・・・、あれ?」
魔族騎士に押されながらも、何とか真正面から戦っていたスピットは、シウンが魔族騎士に一太刀入れたことに悪態をついたが、彼女のそばで魔族の兵士が倒れたことに気が付いて口をつぐんだ、慌てて。後ろに回られているのに気が付かず、かなり離れたところで一隊まとめて相手にしていたシウンが気が付いて駆けつけて助けてくれたことに気が付いたからだ。
「そいつを早く倒して、俺の援護に来てくれ。」
そう言って、彼は別の戦線に駆けていく彼の背をスピットは見ながら、目の前の相手に向かった。
「やっぱり魔法の威力が!」
ファイアは、火球を連発しながら、シウンの支援を実感していた。その攻撃を駆け抜けてきた魔族騎士がいるのに気がつくのに遅れた。“しまった。やられる。死ぬ、いやー!”
しかし、真っ二つにされたのは、その魔族騎士だった。シウンがあわやのところで、助けてくれたのだ。
「ハリーとケーンと3人で、連係を取れ。そして、俺を援護しろ。」
二人を残して、彼は向かってくる1隊に斬り込んだ。二人も危ない所を助けられ、連れて来られたのだ。
「何をやっている。主様を援護しないか?」
と叫んだシデンが駆け抜けて、シウンを追った。3人は、矢をつがえては放ち、火球を放ち、防御結界を張った。
結果としては、シウンが魔族の主力と戦い、その背をシデンが守り、スピットが陽動のように動き、残りの3人が分断をはかって戦った形となり、魔族の1隊を壊滅させることに成功した。その後、少し後退して野営、だったのだが、4人は、また、素っ頓狂な声を上げた。
「私達の気を惹こうと、サービスしたって無駄だぞ。」
とスピットが、おどおどするように悪態をついた。
「は?何のことだ?」
ようは、食事の支度を全員で分担して行うということに、彼女達が当惑したのだ。
「はあ、当然だろう?彼女達とも、そうだったぞ。」
「昨日までは、主様と我で…。」
「ベアキャットは、手伝わなかったのか?」
意外そうな顔のシウンとシデンに彼女達はそっぽを向いた。
とにかく、腹が減っていたから、その場はそのままになり、皆が食事と野営の準備を始めた。
食事となってから、シウンはその話をぶり返した。
「戦闘以外は、ベアキャットは動かなかった、すべてお前達7人でやっていたというわけか?」
とのシウンの質問に、
「あいつらも、何もしなかったよ。私ら4人で全てをやったわよ。」
「あいつらは、やはり何もしなかったわ。あれ…二人のことよね。」
「3人?二人ですよ。」
「あと一人なんかいないわよ?
バラとクーダの二人だけど、支援魔法のバラと魔法結界士というかのクーダの。」
「いや、もう一人いたろう?」
「え?」
「いないでしょ?」
「いない…かしら?」
「そう言えば、同じような質問を…。」
「主様、どういうことだ?」
「とりあえず、二人について教えてくれ。」
とシウンは彼女らを問いただした。
「う~ん。そう、言われると…。」
「え~と。あまり分からないんだけどね、知っているのは…2年前からかな、私は。私が加わった時はいたから…。」
「あまり変わらないけど、あんたが一番の古株だからね…。」
「3人目の噂か…。」
大抵フードをかぶったら二人だが、たまにフードを外す時にはがある。二人ともみごとな金髪の若い美人で、小柄だが、姉妹ではない。支援魔法、魔力、体力等を高める方面に特化した、のバラと防御結界魔法に優れたクーダ。
「あまり話すことがなかったしね…。三倍まで高められる、勇者や魔王の攻撃にも一撃は持ち堪えるとが言ってたわね。」
「あ、私も、ぼそっと言ったのを聞いた。」
「あれ?触れなくても、回復、治癒できると言ったのはどちらだっけ?」
「え?」
「知らないわよ。」
「私も何となく記憶があるけど…。」
「とにかく、あの二人、リーダーは特別扱い方だったわ。」
「抱く…とかは見たことないわね。リーダーにしては、不思議よね。」
「一応、美人だったしね。でも、優しくてしていたことも、特になかったわ。」
「あいつらも、つかず離れずというか…最初の頃は、こいつらなんだろうと思ったけど…あまり関心がなくなったわね。」
4人の言う話は、彼が集めた噂以上のものではなかった。それが確認できたこと、ベアキャットが優しくもないが愛人にしてはいなかったことが分かったことは、収穫だと思った、
「で、お前らは、どうして彼のパーティーにいたんだ?」
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