第3話 栄光から転落?まで

 シウンは、大分前のことから話し始めた。


 俺は、辺境の郷士の家に長男として生まれた。身分的には、騎士の下だが、土地をかなり持ち、使用人を使って畑を耕作し、牧場で牛、山羊、羊、馬、豚、鶏やらを飼い、また、土地を小作人に貸したり、織物工場などに出資したりして、まあ、その辺ではかなり裕福な家だった。一方で、代々子供達は傭兵、冒険者として旅立つのが常で、それが周辺地域でのステータスだった。だから、武術や魔法については、農業等以上に叩き込まれた。そのうち、俺に勇者の印が現れて、それが教会で認定され、2年間、魔法や武術の教育を高等魔法学院でみっちり叩き込まれ、修了後、勇者候補として旅立った。冒険者として実績をあげて、最終的に総教会で、勇者に認定された。その頃には仲間もできていた。4人、皆女達だが、別にハーレムを目指すためにというわけではないぞ、たまたまそうなっただけなんだからな。

 そして、4人の超一流の上の冒険者、美人達と勇者のチームと知られるようになった。それがどうも、その4人に支えられて、勇者している男と、一部では思われるようになっていたようだ。そういうわけではないのだが、決して。そして、苦しい戦いもあったが、それも皆の協力で乗り切り、ともに成長していった。ともすれば順風漫歩であったように思われているが、死を覚悟したことは一度や2度ではなかった。特に、魔王軍の正規軍の精鋭相手では。そのなこともあって、いつの間にか、俺は4人ともと関係を持ってしまった。結果であって、最初から考えていたことじゃないぞ。それに、4人とも公認の上だし。


 そんなある日、勇者ベアキャットから闘いを挑まれた。勇者同士の私闘は禁止されている。全大陸で、引退した者も含めて10人しかいない勇者が潰しあいをしては困るからだが、別に罰則が定められているわけではないし、彼は問答無用と挑んできたのだ。

 それでも、俺は最後まで応じるとは言っていない。

「おれが勝ったら、お前の女達をもらうからな!」

「彼女らは物じゃない!」

 その時、彼の力が倍以上に膨れ上がるのを感じた。彼の後ろから、その支援魔法の流れを感じた。だから俺は、サイウン達の力を3割、俺の限界だった、高めて、

「一気に左右に展開するブス女達を蹴散らして、支援魔法使いを倒してくれ。」

4人は、

「分かったわ。」

とハーモニーして、答えた。


「ちょっと待って。」

「だれがブス女・達・・いや、そのことは後にするとして。」

「あいつらを3割方強くしたって、どういうことよ?闘いながら、あいつらを強化していた?」

「4人も同時で?」

 スピット達が素っ頓狂な声を上げて、問いただしてきた。俺はキョトンした。

「総合力をかさ上げできる。だから、あいつがそれで力が、倍増以上になっているのが分かったんだ。同類の魔法は、分かるからな。俺の方から聞きたいが、何でお前たちも、力を倍増させなかったんだ、後ろの魔道士か、賢者か分からない女は?そうすればあんなに簡単にやられなかっただろうに。」

 俺は、前々からもやもやしていたことを聞くことができた。

「主様。」

 シデンが、言葉がでてこない4人に代わって、答えてくれた。

「大抵は、1人、特定な一人をかさ上げするので精一杯だ。しかも、自分がたたかっている最中に、しかも3割方と云うのもかなりなものだぞ。まあ、その女の倍以上というのも、かなりのもの、というよりは常識外だが。我も、力が増すのを感じて、まさかと思っていたのだ。聞こうと思いつつ、機会がなくて…。」

 "そ、そうだったのか?"体系的な魔法教育をしっかり受けなかったため、そういうことがわからなかった。自分ができれば他人もできると思い込んでいたのだ。

「じゃあ、あなた無しだったら、私達勝っていた?」

「そうよね、あいつら強すぎだったもんね。」

「八百長だったんじゃないの?」

「私達、捨てられる必要なかったんじゃない?」

「お前達、元の主の下に帰りたいか?そんなに。主様は、私一人で十分だから、行ってしまえ。だが、食事代くらい払っていけ。それが礼儀というものではないか?」

 顔を輝かせ始めた四人に呆れたように、シデンは冷たい調子で言った。それに反論しようとして、言葉がでてこなくなった四人は固まってしまった。

「三倍になっても、自力の彼女に勝てないぞ。まあ、三倍にして体が持つかどうか・・・。それで、彼だけが倍以上の強さになっていたわけだな?彼女らのかさ上げも知らなかったわけか。」

4人は、微かに頷いた。

"あいつは、彼女達が超一流の上ではなく、超一流だとわかったら失望するかな?ん?あの女はわからなかったのか?まあ、こいつらの3倍以上だしな地力が、彼女達は・・・。"



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る