五日目 真相にて 後編

「どうぞ、お待ちしておりました」


「ええ、今宵もアナタの事をたっぷり癒したいと思い」


「お背中、流させていただきますね」


「どうされました? 顔を赤らめて」


「前を隠して欲しい……?」


「何故?」


「私はアナタに全てを曝け出してもいい」


「これはその意思表示なのですが」


「この顔も」


「この胸も」


「この腰も、脚も」


「アナタになら、何をされても構いません」


「それとも……醜いですか?」


「綺麗……?」


「…………良かった」


「ふふっ、さあさ、座ってくださいまし」


「背を向けてくだされば私の身体は見えないでしょう?」


「ゆっくりと、慣れてください」


「口内に指を差し入れても」


「胸を揉みしだいても」


「全てはアナタの思うがまま」


「アナタの欲望をぶつけて欲しいのです」


「いつかそんな日が……」


「そんな事はしない……?」


「いいえ、していただきます」


「今にも寸前の所で決壊しそうになっている理性の壺を」


「砕いて差し上げます」


「うふふ……冗談ではありませんよ」


「さあ、座ってください」


「私に、溺れていただきます」


「ツゥー……」


「ふふ、身体がビクリと跳ねましたね」


「気持ちが良かったですか?」


「それとも驚いただけ?」


「分からない……?」


「ではアナタの身体が理解するまで、色々と試させていただきますね」


「まずは泡立てて……」


「肩をほぐしていきます」


「少し……こっていますね」


「連日、お手伝いをしてくれていましたから」


「疲れが溜まっているのでしょう」


「んっ……こうして……こりを……」


「んっ……しょ……ん……」


「肘も……使って……」


「胸が背中に当たっている……?」


「当てて――――いるのですよ」


「ふふっ……お可愛いこと」


「肩と一緒に背中のマッサージです」


「一石二鳥、ですね」


「んっ……こうやって……胸を使って……」


「…………」


「ふぅー」


「うふふっ……ビックリしましたか?」


「お耳まで真っ赤にして……」


「私が……意地悪……ですか?」


「もしや……以前の、偽っていた頃の方がお好みでしたか?」


「……嫌じゃない?」


「もう……まったく……アナタは本当に……私をいとも簡単に受け入れてくださるのですね」


「後は私の……精一杯の【好き】を受け入れてくださるだけ……ですね?」


「……ぎゅうぅぅ」


「驚きましたか?」


「恥ずかしいですか?」


「それとも……このままで、いて欲しいですか?」


「……そう」


「では……もう少し……このまま」


「…………」


「か、可愛かった……? 何がです?」


「ぎゅう……が……ですか……?」


「もう……突然なんて事を言い出すんですか」


「急に……ずるいです」


「……もう」


「……好き」


「好きです」


「大好きです」


「……愛しています」


「アナタの全てを」


「このまま……こうしていたいです」


「ダメですか?」


「良い……ですよね」


「アナタがのぼせてしまうまで……」


「もう……とっくにのぼせている……?」


「ふふっ……では、早く離れなくてはいけませんね」

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