五日目 真相にて 前編

「おはようございます」


「体調はいかがでしょう?」


「調子が良い……ですか」


「吸血行為によって人間の悪い血液を吸い出す事が出来るのです」


「勿論、私にとっては二つとないごちそうなのですが」


「アナタが元気なようで、良かったです」


「では朝食を用意してきますので、その間に顔を洗ってきてください」


「……どうかしましたか?」


「拘束……?」


「いいえ、そんな事はいたしませんよ」


「信頼」


「して、いますので」


「それとも、拘束されていたいですか?」


「拘束とまではいかなくとも、軽く縛られる程度でも……」


「うふふ……試したくなればいつでもおっしゃってください」


「アナタの性癖は調べたつもりですが、やはり開拓されるものですからね」


「そんなに恥ずかしがらずとも良いのですよ?」


「私はアナタの全てを受け入れています」


「これからも、受け入れ続けていく予定ですので」


「では、お待ちしていますね」


「急がなくとも良いのですよ。ゆっくりと、準備なさってください」


 *


「やはり地下が気になりますか?」


「見ていて気持ちの良いものでも無いでしょうに……」


「私の事を……知りたい……?」


「本当に害が無いか、調べたいからですか?」


「慌てずとも良いのですよ。私からアナタに危害を加えるつもりはありませんから」


「昨日の事……吸血行為のことですか?」


「気持ちが良いとおっしゃっていたではありませんか」


「首筋に牙を立てられ、そこから血を啜られて、あんなにも頬を赤らめておいて……」


「アナタの中では、あれも危害の範疇なのですか?」


「ふふ……冗談です」


「少し、イジメたくなってしまっただけですから」


「……血が……気になりますか?」


「どれだけこの器具を使ったか……?」


「両の指で数え足りる程度です」


「人間と、獣を合わせても……ね」


「多いですか?」


「それとも、少ないと感じましたか?」


「……?」


「以前にも言いましたが、コレの本来の持ち主は以前の管理者です」


「私はただ空いていた教会に滑り込んだに過ぎません」


「はい」


「本当ですよ」


「アナタに嘘は……吐きません」


「吐きたく……ありませんので」


「私のこと……全て、知っていてください」

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