やせた黒鳥

@makisimobitti

やせた黒鳥

 ある春のあたたかな公園の木の上にカラスの巣があった。そこにはカラスの親子が住んでいた。カラスの子供はとてもふくよかなので一人で空を飛ぶことが出来なかった。周りのカラスの子供より独り立ちが一年以上も多くかかっている。ある日カラスのお母さんはユニコーンの角をなめるとやせるという噂を耳にした。カラスのお母さんはユニコーンを探しに出かけた。

 そのころユニコーンは、北極の上空をお散歩がてら飛んでいた。

「バタバタ。うぅうぅうぅ。」

するとそこには氷山に角が刺さってしまっていた一角がいた。ユニコーンを助けるために羽を使って口で一角をくわえながら一生懸命、一生懸命引っ張りましたが抜けそうにない。ユニコーンは氷山を割ることにしました。

角を使って。角はボロボロになったが一角を助けることができた。

「ありがとうございました。あなたの角がこ

んなにボロボロになるまでに私を助けてくれて。感謝の気持ちでいっぱいです。何かお礼をしたいのですが…。」

「お礼なんていりませんよ。あなたが無事でいてくれてよかったです。それでは。」

ユニコーンはお散歩を続けた。

 しばらくしてカラスのお母さんはユニコーンを見つけることが出来ました。

「すみません。」

「はい。」

「あなたの角をくれませんか。いきなりでごめんなさい。私の息子が太っていて、独り立ちが出来ないまま、はや一年がたってしまって…ユニコーンの角をなめればやせるという噂を耳にしたもので…」

「そうだったんですね。」

ユニコーンは少し悩んで答えを出した。

「わかりました。私の角をあげましょう。」

「ほんとにいいんですか!大事な角なのでは⁈」

「あげます。あなたのお子さんのためになるのなら。」

 カラスのお母さんの涙が頬をつたって海に落ち波紋が広がる。

カラスのお母さんはユニコーンの角を口にくわえる前に

「ありがとうございます。」

の一言だけを発して飛んで行った。一人取り残されたユニコーンは自分の国に帰った。

 自分の巣に戻ったカラスのお母さんはさっそく息子にユニコーンの角を舐めさせました。

「お母さん、これいつまで舐めてればいい?」

「効果が出るまでよ。」

「…」

それからカラスの息子は半年間角だけをなめ続けました。

 夏がやってきた。体感温度は37度を超えた。

「がんばれ。」

「うん。行くよ…」

真っ青の空にゴマのよう見える黒い点。

「すごい‼飛べたじゃん。」

「やったー!飛べたついに飛べた。」

ちょっと行きたいところがあるから行ってくる。カラスの男の子は張り切って空高く飛んで行った。

「あの。すみません。ユニコーンの国への生き方を知りませんか。」かもめの集団に聞いてみた。

「ごめんなさい。私、ユニコーンの国なんて聞いたことがありません。」

「そうですか。ありがとう。」

カラスの男の子はとても長い時間探してやっと見つけた。

「あの。すみません。角のないユニコーンってどこにいますか。」

「そこを右へ行ってまっすぐ行って左へ行ったところです。」守衛さんは答えました。

 守衛さんの言う通りに行くとそこには柵があってその中には角のないユニコーンがたくさんいた。

「なぜ閉じ込められているのですか。」

カラスの男の子は近くを通りかかったユニコーンに聞いた。

「角のないユニコーンが昔大暴れして、それから角のないユニコーンはこうして柵の中に閉じ込めているんだよ。」

「…ありがとうございます。」

 カラスの男の子はお母さんから聞いていたいくつかの特徴を頼りに、自分のために角を折ってくれたユニコーンを探しました。

しかしカラスの男の子にはあまりにも難しかったため大声で叫ぶことにしました。

「この中で一角を助けたことのある方はいますか。」

「一度だけ。」

手前の方にいたユニコーンがボソッとつぶやいた。

「あなたですか。あの。私、カラスなんですけど。あ。えっと。私あなたの角のおかげでやせることが出来たんです。本当にありがとうございました。こうして飛べるようになりました。」

「昔、女性のカラスに角をあげたことがあります。お子さんにあげるとおっしゃっていました。あなたがそのお子さんでしたのね。空を飛べるようになってよかったですね。」

「はい。本当に感謝しています。あなたがいなければ今もまだ両親に迷惑をかけていたと思います。」

 カラスの男の子は角をくれたユニコーンと少し会話をした後、地上に戻って新しい巣を作るために、木を探しはじめました。

 また春がやってきた。

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