Vol5:New Face

 単調なバイパスを通り抜けてようやくアリスの家、にたどり着いた。

 「たっだいまー!シャルちゃんも入りな。」

 「えっ...どうも。」

 さすがアメリカというべきか、広い。玄関を抜けると赤紫...野菜ジュースみたいなカーペットの上にソファが置かれている。

 「広...。」

 「別に普通よ。」

 女の子の家に行くとあってドキドキしていたが、着いてみると普通の家だった。

 「そういえば、お父さんとかどこにいんだ?」

 「あぁ、父さんは今頃倉庫でMINIMIかなんかいじってるわ。」

 さすが合衆国というべきか、スケールがでかい。...いや、いくら合衆国でもこれは普通ではないだろう。冷静にあたりを見渡してみると普通にAR-15系の銃が4丁かかってるし、チームフラッグらしき旗が壁にかかっている。これ、アリスの父さんはPMCなのでは!?アリスの父親ってもしかしたらめっちゃ怖いのでは!?

 「もうすぐご飯だから、お父さん来るんじゃない?」

 「えっ...心の準備が...。」

 そんなもん用意する前に...

  「へーいMy daughter!遅かったじゃあねぇか!心配したぜ!」

 「こっちこそ!また家でドンパチしてないからヒヤヒヤしてた!」

 ずいぶんフレンドリーかつ豪快でワイルドな人だった。

 「そしてこっちはシャルロット!俺はクーパー!しばらくよろしくな!」

 手を突き出してきた。

 「えっ...。」

 何これ。どうすればいいの?

 「そうだよなぁ。いきなりお兄さんが握手をしようったって嫌だよなぁ...」

 「お兄さん、じゃないでしょ!」

 しょんぼりさせてしまった。

 「いや、大丈夫です!!」

 慌ててぎゅっと手を握る。

 「そうか、そう来ないとな!」

 ブンブン振り回された。

 「じゃ、お前も家族ってことで飯にすっか!」

......

 夕飯はこんがりと焼き目のついたトマホークステーキだった。

 「いただきます。」

 ステーキにナイフを入れる。ナイフ越しにしっかりとした弾力が伝わってくる。刃を入れるたびに肉汁が滲み出てくる。いざ、口に入れる。

 「んんっ」

 日本の肉と比べて確かに硬い肉ではある。しかしその硬さが肉汁をしっかりホールドして破壊力を増している。

 「うまいか?」

 そりゃあもう!しかし言葉にできずただ首を縦に振るしか出来なかった。

 付け合わせのマッシュポテトも肉汁をうまく吸っていて、まるでもう一種類の肉を食べているようだった。

 「ご馳走様でした!」

......

 さて、今日も疲れたし、寝るか。そう思った時だった。

 「シャルちゃん、シャワー浴びないの?」

 「いや、もう寝たいんだけど。」

 「ははは、それじゃ汚いわよ風呂入んなさい。もしかして、1人じゃ怖い?」

 「そんなわけあるか!」

 結局シャワーを浴びることになった。

 上に羽織っていた薄手のパーカーを脱ぐ。汗が染みている。これ絶対臭うだろ。 そう思いつつ少し嗅いでみる。...いい匂いだ。おおよそDKからしてはいけない匂い...って、俺女だったんだ!

 「シャルちゃん何やってんの?」

 「ひっ!」

 何やってんのはこっちのセリフだ!なんで人の風呂覗こうとしてんだよ!

 「なんでのぞいてくんだよ!」

 「だって...なんかシャルちゃんが心配で...。」

 とりあえず、まだ女体をみる覚悟はできていない。なので目を瞑って服を全部脱ぎ捨てて風呂場の中へ入る。薄目を開けて鏡を見る。やはり金髪緑目の美少女フェイスだ。勇気を出して下の方へ視線をやる。わずかに、しかし確かに主張する胸のライン、そして伸びやかな四肢。全体的に人形細工と間違うぐらいの美しさだった。

 そしてもちろんのこと...

 「ない...」

 完全に女の子、それもかなりの美少女になってしまった。なんだろう、この気持ち。わからん。

 「シャルちゃん、髪ちゃんと洗わないとヤバいよ!」

 「わかった。」

 はぁー。こんなんなっちゃったから、ね。

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銃・TS娘・V8 @Taakeeyy

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