Vol4:Fxxkin World
「シャルちゃん、もう何食べるか決めた?」
もうあだ名を付けられている。ちょっと馴れ馴れしい気がする。
「いやぁ...迷うなぁ。おすすめはなんだい?」
「これに、これに、それに、あれに...」
「いや、多いて!おすすめは一つに絞りぃ!」
「だって、お腹すいたんだもん。」
確かに朝から夕方の4時ぐらいまで取り調べだったからな。しかし、いくら腹が減っていると言ってもこの量は食い過ぎだろう。その割に細い体型を保っているのは少し羨ましいかもしれない。
「で、食べるの決めた?」
知らない飲食店に来た時に注文するメニューはただ一つ。
「1番ちっちゃいバーガー!一つ!」
そう。1番小さいメニューだ。それなら大抵食べられる。
「じゃ、アタシはこれと、これと、それと、」
チリーン!どうやら客がやってきたらしい。
「オーダー入りましたぁ!現金ありったけ一丁!!」
いや、お前は客だって...強盗じゃねぇか!
「野郎ども!ラーメンマスク様の言うことを聞くんだ!男はみんな黙って持ってるもん全部出せ!女子供は...なんだぁ...まぁ黙ってチックタックでもやってろ!」
「武器はこの袋に入れぃ!」
なんか子分らしき男も出てきた。流石に分隊支援火器の前で物怖じしたのか客が各々銃を袋に入れていく。
「アリス、ショットガンとかないのか...。」
「今持ってるわけないでしょ...。」
「おい!何話してんでぃ!」
話していることがバレた。まずい。
「おいキッド!女には手を出すんじゃねぇ!俺たちはジェントルなんだよ。わかったか!」
いや、ジェントルは強盗をしないだろ。思わずツッコんでしまった。しかし状況は緊迫したままだ。まるで冷戦時代の核のフットボールのようだ。だが、少しおかしい。普通強盗はさっさと仕事を済ませなければ御用だろう。
「...何がキャッシュレスだ!クソ!」
ドドドド!!!!
BARの銃声が響く。標的となったのはレジ係の店員、そしてキャッシュレス化されたレジ本体だ。
「おいキッド!逃げんぞ!」
「待ちなさい!」
気がつくとアリスが俺のカバンからM1911を取り出していた。
ドッ!ドッ!
キッドとかいう奴に当たる。
「ッッ」
声にならない叫びをあげて倒れる。
「キッド!!」
ラーメンマスクとやらが叫ぶ。そして銃口をこちらに向ける。引き金に指がかかる。今日で3回目の絶対絶命です。なんなんでしょうか。
「...世も末だな。......。」
ドッドッドッ!!!
ラーメンマスクは撃たなかった。そしてアリスは撃った。これが命の駆け引きという奴ですか。
......
V8のドロドロした音が響く。時刻は5時。郊外へ向かうバイパス道路。流石にもう死線をくぐることはないだろう。
この世界に俺の家はないのでアリスの家に居候することになった。いやぁ、まさかおにゃのこの家に居候するとは...。
「風邪でもひいた?顔赤いよ。」
「い、い、いや別に...。」
「そう、良かった。」
ぐぎゅー
「そういえば、ご飯なんも食べてないー。この世の終わりだぁー!」
V8の心臓が唸り出す。マスタングはアリスの家までの道を駆け抜けていく。
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