Vol.3:Everyday
「...で、あの路地裏にいたと。」
「はい。」
「フッ、笑わせるな!なーにが女神だ!転生だ!お前には取り調べ室がコメディコンテストの会場に見えるってのか!お前みたいな大ホラ吹きにはうんざりだ!」そう言いのこし、中年警官は机を叩いたのち取り調べ室から出て行った。まぁ無理もない。冷静に考えればこんなことを警察署で言う奴はカルトにハマった奴かガンギマリヤク中だろう。そんなことを思っていたら、白髪混じりの紳士的な風貌をしたベストを着た男が入ってきた。
「いやぁ、怖がらせてしまってすまないね。ああ言ったもののダニーさんも君のことが心配なんだよ。さ、怒らないから本当のことを話してごらん。」
「俺は嘘なんかついてない!全部本当のことだ!」
「......。」
沈黙。そして俯く。メガネの反射で顔が隠れる。
「.........。」
怒らせてしまったかもしれない。どうやら留置所送りは確定だろう。
「............失礼、少し考え込んでしまった。どうやら嘘はついてないみたいだね。それに君の目撃証言は全くない。失礼かもしれないが...君は色々目立つからね。」
さっき警察署で撮られた写真を見る。艶のあるセミロングの金髪。整った目鼻立ちに緑の目。我ながら見惚れてしまう。確かにこの容姿は目立つ。
「面倒なことになったな...。はは、また白髪が増えることになりそうだ...はは。」
「なんか、ごめんなさい。」
「いや、いいんだよ。とりあえず記憶喪失として処理しとくから、何か思い出したらまた話を聞くよ。」
記憶喪失扱いになってしまった。そりゃそうだろう。こんな話小学生でも信じないだろう。むしろ都合がいいかもしれない。
「よ、どうだった?」
「いや...。」
「まぁ、元気出しなって。バーガーがいい?それともピザがいい?」
「いきなり飯の話ですか!それより、街ん中でショットガン撃って大丈夫なんですか!?」
「まぁ、こんぐらい
普通に考えてショットガンで撃たれたらタダじゃ済まないだろうが、ここではそういうもんなんだろう。そしてタメ口でいいと言われた。なんか緊張するな。
「で、どっちがいいの?」
「...バーガーで。」
「OK!」
しばらく後、俺は車に揺られていた。アリスの運転している車に。こいつ高校生ぐらいだろ。なんか怖えよ。
「アリスさん...この車...」
「お、アナタも車好き?いいねぇ教えてあげる。この車は90年式フォードマスタング。若干マイナーなモデルだけど狙い目なのよね。前期型は珍しいターボエンジンを積んでいて...」
「いや、車自体じゃなくて免許の話なんですが...」
「免許なんでガキじゃないんだし14過ぎたらみんな持ってるよ。」
「え、俺も持てんの?」
「アナタ14過ぎなの?」
「16だよ。」
「あら、ちっちゃいから小学生ぐらいかと思ってた。」
「ひどくねぇか。」
「ふふふ」
てな感じでバーガー屋までドライブをエンジョイしてた。時刻は4時少し過ぎ。
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