第16話
晃子の部屋にて。
真唯が晃子を頼った理由を話すと彼女は驚きのあまり口をあんぐりさせた(ちなみに、カフェで見かけて好きになった人が母の高校時代の後輩でここ数ヶ月彼といろんなところへ出かけているのは晃子に以前話してある)。
「......真唯が好きになったカフェの人の好きな相手が真唯のお母さんとは......少女マンガみたいな話だね」
テーブルに向かい合わせに座り、晃子が入れてくれたココアを飲む真唯。
「うん......」
「それで真唯はどうしたいの?」
「どうって?」
「笹倉さんの好きな人が真唯のお母さんと知ってても諦めずに彼との交流を続けるか、ここで諦めるか」
提示する晃子に対して真唯は「私はお母さんに確かめたい」とつぶやいた。
「確かめる?」
「うん。高校時代、笹倉さんとお付き合いをした事があるのかどうか」
「確かに。二人で撮った写真があるんだから気になるよね。ましてや笹倉さん自身が裏に一生、忘れられない人って書いてるんだしね」
「この際だから、明日家に帰ってお母さんに聞いてみようと思う。もし笹倉さんと付き合っていた事があったとして、どうして私に隠していたのかその理由も知りたい」
「そうか。わかった。真唯がそう決意したのなら私は幼なじみとして本当の事を知ろうとするアンタを応援する。もし何かあったら私を頼んなさい」
「ありがとう、晃子......。今夜、ここに来てよかった」
そして涼祐を思い出すとぽつりぽつりとつぶやき始める。
「今は、笹倉さんの気持ちを知っても好きな気持ちは変わらない。明日お母さんから事実を聞いても諦められるのかどうかも正直わからない。それとも......笹倉さんから言葉を向けられたら諦められるのかな」
「真唯」
「笹倉さんといろんなところへ行けて楽しかった」
もう二度とないのかもという不安も脳裏をよぎる。
それでも。
母と涼祐の本当の関係を知りたいと思う気持ちを止める事は出来ない真唯だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます