第19話
兄上からメールが来た。
錘付きの服が出来たのかと、喜んで内容を確認したが、違っていてガッカリ……。 が、忍者服を誂えてくれるという事が書かれていたので、直ぐにお礼のメールを送ろうとしてたら、お客が来ているから顔を出せと言われた。
仕方なく居間に向かうと、黒い忍者服を来た綺麗な女性と兄上が座ってた。
「何時まで突っ立ってんだ? 申し訳ありません、非常識が服着て歩いてる様な奴でして」
「構いませんよ、始めまして大垣
さっさと座れと兄上に促され、改めて自己紹介をしたあと、説明された話によると、私を育てたいと言われた。
──育てたい……とは、どういう事だろうか? 養子にって事だろうか?
「えっと……一応私はこの家が好きなので、養子には出ません!」
そう言うと、呆気に取られたあと笑いだした。
「愚昧、そうじゃねーよ馬鹿か! お前のスキルの先生になりたいって事だ! そうですよね? 大垣さん」
「はい、勿論。 御所望とあれば養子でも大歓迎ですけどね?」
「いえいえ、一応愚昧ですが可愛いい妹ですから、養子には断固反対致します」
──おお、兄上がまるで家族みたいな事を言い出したぞ!
私は思わず感動した。
「それで、忍者のjobがあると聞いたのですが、間違いありませんよね?」
「え、jobってなんですか? スキルには忍者が有りますけど……」
「あら、今はそう言われるんですか? 30年くらい昔は違ったのよ?」
そう言うとお姉さんが見せてくれたステータスは、私達と違う表記で記されていた。
━━━━━━━━━
名前 大垣
年齢 46歳
職業 会社員
Job 忍者
メイン武器 短刀
サブ武器 魔力糸
スキル 影縫い
サブスキル 体力向上、闇魔法
━━━━━━━━━
折角見せてもらえたので私も見せる
━━━━━━
名前
年齢 16歳
職業 学生
メインスキル 忍者Lv2
サブスキル 体力向上Max
気配遮断Lv3
気配察知Lv1
忍び足Lv2
短剣術Lv1
投合Lv1
称号 体力馬鹿、体力向上を極めし者
━━━━━━━
「あら、レベルなんて今はあるの? 凄いのねぇ。 私たちの時代は感覚でしか成長度合いが分からなかったので大変だったけれど、随分変わったのねぇ」
そう言って感心していた。
現在使われているステータスを調べられる宝珠には触った事がないらしく、昔の表記のまま使っていたらしい。
「今度私も調べてみようかしら」
等と言っていたので、調べるなら付き合いますよと伝えると、喜んでくれたので、何時にするか聞いてみた。
「そうねぇ、取り敢えず晶ちゃんの動きを確認してからでいいかしら?」
じゃあ今から、と言って外に出ようとしたら兄上に止められ、後日爺ちゃんの指導のある日があるから、そこでやれと窘められた。
時計を見たら午後22時を回っていた。
確かに保護者がいるとはいえ、何癖付けられてあの
それなら
お姉さんは、旧市街に一度帰って後日また来るらしく、その間は毎朝毎晩素振りをしてなさいと言って、やたら重たい鉄の棒を渡してきた。
──これ振るの?
私は新たな鍛錬方法が見付かり喜んだが、兄上は青褪めていた。
(化物になるの? そうなの?)
と、呟いていたがなんの話だろう?
取り敢えず、迎えが来るというので、暫く庭で私の素振りを見ながら過ごし、兄上は忍者服を作るからと早々に帰っていった。
良い汗をかいてきた頃、漸く迎えの車が来たというので玄関に一緒に向うと、五六人ジャーのコスプレをした老人が運転する、妙に派手な車が見えた。
──何で翼があるのか? 飛ぶのか?
そう思ってお姉さんに聞いてみると、一言。
「思い出したくないの……」
そう言って青褪めてるので、それ以上聞くのをやめた。
「それじゃあまたね!晶ちゃん」
そう言って車に乗り込み、私と話をしたそうな老人達の頭を忍者刀で叩きながら阻止し、そのまま走り去って行った。
「中々濃いなぁ……」
そんな私の呟きは夜風にサラッと流されて消えていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます