第3話 03 - こわいゆめ -

03 - こわいゆめ -



・・・夢?


またあの怖い夢





「エルちゃん、外周区の図書館に・・・」


「・・・うん、いいよリンちゃん、・・・明日行こっか」


「今日読みたいの・・・」


「じゃぁ急いで行けば、日が暮れるまでには・・・」





「・・・あった、・・・の新作本」


「よかったね、・・・じゃぁ帰ろ・・・」





「なんでこんな所に!、外から入って来たの?・・・あそこの下水から?・・・」


「やだぁ、・・・怖い、・・・怖いよエルちゃん・・・」


「・・・警備に知らせないと・・・、内周に行かれたら大変な事に・・・」


「・・・もう走れないよ、・・・置いていって・・・」


「・・・何言ってるの!、リンちゃん頑張って、・・・あそこに緊急退避シェルターが・・・」





「痛い、足が・・・」


「僕が背負うから早く手を・・・」


「やだ、・・・後ろ」





「はぁ・・・はぁ、・・・シェルター室あったよ、・・・助かった・・・」


「エルちゃん、・・・ありがとう、・・・怖かったの・・・」





「何で!、・・・5つのうち4つまで人が、・・・残り一つ・・・」


「わぁ・・・、ドアが破られる、・・・やだ、・・・怖い・・・」


「リンちゃん入って!、・・・早く!」


「それじゃ・・・エルちゃんが、・・・いやだよ!、・・・2人で入ろう・・・」


「ダメだよ、これ一人用・・・酸素が足りなくなる、・・・それに僕には家族いないから」





「エルちゃん!、・・・いやぁぁ・・・」


「・・・うぅ・・・こ・・・怖いよぅ、・・・机でバリケード、・・・警備が来るまで持ち堪えて・・・」





「ひぃ・・・やだ!、・・・来ないで・・・」


「やぁ・・・やめて痛い、・・・足が・・・僕の足が!、・・・痛い!、・・・痛いよぉ!・・・いたぁぁい!・・・いやぁぁ!」


「・・・うぐっ・・・離してよ、・・・力が強くて・・・痛い!、・・・僕の左目・・・うぅ・・・見えない、・・・げほっ・・・、嫌!、嫌だ!・・・助けて・・・誰か!、・・・いやぁぁ!お尻が!、・・・ひっ!・・・お股の穴にも、・・・ぎゃぁぁ!・・・そんなところ入れないで!・・・痛い!、お願いやめて、・・・痛いよぉ・・・あぁ・・・」


「・・・あれから何もして来ない、殺さないの?、痛いよぉ・・・、僕の・・・足が無い、・・・血がいっぱい・・・食べられちゃったの?、・・・げぼっ・・・うぅ・・・気持ち悪い、・・・喉の奥に・・・それからお腹にも何か・・・流し込まれて、・・・げほっ・・・うぅ・・・なにこれ・・・動いてる!、・・・ひぃっ・・・まさか卵?、・・・ やだ!、誰か!・・・早くお腹から出さないと、・・・幼虫が孵化しちゃう、・・・嫌だ、・・・お願い・・・誰か助けてよぉ・・・ 」





「シェルターに避難した・・・5名の救助を完了、ベンダルの死亡確認、被害者は1名・・・女の子、・・・服がかなり破れてるな、誰か毛布持って来てくれ・・・、意識があるぞ!、・・・おい、聞こえるか?」


「かわいそうに、・・・この子はこれからの人生・・・死ぬより辛い目に遭う・・・、ここで楽にしてやるか」


「ダメだ、規定違反だぞ、・・・勝手な事をするな、・・・確かに不憫だがな・・・、俺にもこのくらいの娘が・・・」


「エルちゃん!、・・・あの!、通してください、・・・私を助ける為に・・・エルちゃんが、・・・触手に絡まれて・・・うそ・・・いやぁぁエルちゃん!・・・やだ、エルちゃんが!」


「こら、勝手に触るな、危険だ!」





「これは君が寄生されてるという証明書、・・・無くさないで、お薬は毎日絶対に飲む事、・・・身体の中の幼虫が活性化した時には・・・君を殺してもいいっていう誓約書も、・・・それから防護スーツはどれがいいかな、この中から選んで、・・・色は・・・よく考えて、これを着ると一生脱げないから・・・」


「ご家族の人は・・・いないの?、・・・そう、ごめんね、・・・ステーションの方からは見舞金が・・・」





「・・・まだ自分で起き上がれないだろうけど、防護服の接合部を君の身体に合わせて溶着、・・・うん、継ぎ目が無くなった、・・・サイズはぴったりだね、ほら鏡を見て、よく似合ってる、首のところを今から封印するよ、この封印を外すと罰せられるから絶対に・・・」


「それから首輪と・・・両手首と両足、・・・君の場合は右足に、金属の枷を嵌めるからね、・・・これは君が宿主だってみんなに知らせる大事な目印、首輪の鎖は通信用のアンテナだよ、・・・溶接するから君一人の力では外せないだろうけど、これも無理に外したら罰せられるからね・・・」


「うぅ・・・いや・・・嫌なの!、・・・そんなの付けないで、・・・ぐすっ・・・こんな格好も・・・やだ・・・いやぁ!・・・」


「ダメだよ、これは決まりなんだから、捕まりたくなければ言う事を聞いて・・・」





「わぁぁん、エルちゃんごめんなさい・・・私がわがまま言って、・・・外周区に・・・どうやって謝れば、・・・恩を返せば・・・私・・・どうしたら許してくれるの・・・」


「君は娘の命の恩人だ、ありがとう、これから・・・少ないが我々が定期的に生活の支援をするから、それから車椅子じゃ不便だろう・・・、私の友人で腕のいいお医者さんが居る、義足も作れるそうだからその人にお願いして・・・」


「・・・いえ、僕が自分の判断でやった事ですから・・・、あまり気を遣わないで・・・、リンちゃんも無事で良かったよ、たった一人の友達だからね、気にしないで、・・・もう泣かないでよ」





「・・・痛いよぉ、身体の中で・・・動いてる、助けて、誰か・・・、うぅ・・・リンちゃん・・・」


「・・・やだ!、触らないで!」


「え、・・・リンちゃん・・・、ぐすっ・・・、汚い手で・・・掴んじゃって、・・・ごめん・・・」





「・・・どうしても行くのかね」


「はい、このステーションに住んでる限り、・・・僕は嫌われるし怖がられる・・・宿主って、・・・今まで他人事だったけど・・・こんなに辛いんだって思い知らされたから、どこに行ってもこの首輪をしてると嫌な顔をされて・・・人の目が怖くなっちゃった・・・」


「・・・」


「だから人が誰も居ない宇宙で・・・他人と会わずにお仕事を受けて、地道に生活します、父の宇宙船もありますし・・・ハンターになろうかと、元々人付き合いが苦手だったから、・・・一人で居るのは大丈夫だし、気ままに宇宙を旅して、・・・たまにはここに帰って来ますから・・・お世話になりました、・・・あの、もう支援も要りませんから」


「いや、うちは比較的裕福だから君への支援はさせてくれ、それと、娘は昨日から部屋に閉じこもって泣いている、今日来れなくて申し訳ない」


「リンちゃんにも・・・よろしく言っておいてください、また通信でお話ししよう、元気でねって」




・・・・

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