盲目
第21話 調査
アジトでの生活にも慣れてきた今日この頃。最近やけにエンの目つきが悪い。昼夜逆転生活は、僕と交代制で就寝することによって解消されたはずなのに。
「目つき悪いよ」
「ああ?」
「ってミンストレルが」
「僕言ってないよ」
「顔に書いてあった」
クレバーに思っていたことを言い当てられてたじろいでいると、エンは真剣な面持ちで答えた。
「ここのところ妙な動きがある」
「そうかな」
「気づいてなかったのか?」
「うん。ホス君もそう思う?」
現れたホス君はこの前よりもはっきりと姿が見えた。
「全プレイヤー様に対して平等に接するのが私の仕事。多くを語ることは致しかねますが、確かに動きはございます。これ以上はお話出来ません。お役に立てず、申し訳ございません」
「そっか、全然気がつかなかったよ」
役に立てなかったことに落ち込んでいる彼の頭を撫でる。
「そんな顔しないで。ゲームを運営する側の君がプレイヤーに平等でいることは正しいんだから」
「私は砂まみれです。そんなことをなさったらミンストレル様のお手が汚れてしまいます」
「いいからいいから」
やけに視線を感じて縁を見ると、ありえないものを見るような顔で僕を見ていた。
「お前、ホスが見えるのか?」
「初めは見えなかったけど、段々ね」
マジかよ、と大げさに後退るエン。
「俺は未だに見えねえぞ」
「みんな時間が経てば見えてくるものだとばかり…」
「お前暗いだろ」
ホス君を見たなんて聞いたことねぇ、とまで言われてしまった。ホス君にも視線を向けると、エンに同士するように小さく頷いた。
「話を戻すぞ。妙な動きってのはつまり、ストリートチルドレンのことだ」
エゴイストが洗濯物のかごをエンに押し付け、エント僕でそれらを手分けして干しながら話を続ける。
「今んとこ接触はされてねえけど、用心してた方がいい」
「ストリートチルドレン?。ああ、道でよくお花とかをくれるよ」
「思いっきり接触されてるじゃねえか。…まさかッアジトのことは」
靴下を握りしめながら詰め寄られてもどこか迫力さに欠ける。
「行ってないよ。僕の武器に興味があった未来で、そのことは話しちゃったけど。だめだったかな」
「ダメに決まってんだろ。他のプレイヤーにお前の情報が渡ったかもしれねえ」
「あの子たち、そんな風には見えなかったけどな」
エンは「甘い」と言いながら険しい表情になる。
「あいつらはそんな目的もなく近づいてくるような奴らじゃない」
普段なら目も合わせず、邪魔ばかりしてくると言う。
「なら調べてみようよ」
あの子たちが白なのか、それとも黒なのかを。
僕はグレーにしておいてもいいことてあると思うけど、それを言ったらまたエンを怒らせる気がする。
「いいぜ。あいつらの拠点はおおよそわかってるからな。直接行って確かめてやろうじゃねえの」
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