第6話 E級冒険者の一日


「―【闇弾ダークバレット】!そんでもって止めの【光ノ槍ライトランス】!」


「―グギャァァッ!」


 闇でできた弾丸の様な礫を飛ばして攻撃するC級闇魔法【闇弾】で相手の動きを牽制して、光で出来た槍を飛ばして相手を貫くC級光魔法【光ノ槍】で動きを止めた相手を貫いて倒す。


「……ふぅ、E級上位モンスター¨泥邪¨の討伐完了。お疲れ様、マルトロス、メルトロス。」

「ワフ!」

「ワンっ!」


 転生してから二週間。俺達は、順調に冒険者生活を送っていた。

 毎日依頼を受けてはモンスターと戦い、街を見て回り、受付嬢のララリさんと雑談し、それを妬んで絡んできた冒険者と酒飲み対決したり、酔いつぶれて怒られたりと、楽しい毎日を過ごしている。


 装備も少し強化して、配下も増やした。犬や狼などの群れで狩りをする系統のモンスターは、同種の群れでこそ真価を発揮する。あまりいっぺんに数を増やすと世話などの諸々が大変なので、メスの魔犬を一匹だけ配下に加えた。

 名前はメルトロス。マルトロスとも相性がよさそうなので、番に成ってもいいように名前似たようなやつにした。体毛も灰色で一緒だし。


 因みに、これが現在の俺達のステータスだ。

 

――――――――――――――――

『ケイトラン・プリズト』 十六歳 男 種族:人族

クラス:『召喚士』

スキルポイント:0

レベル:26(+23)

HP:358/358(+276)

MP:298/358(+276)

筋力:310(+276)

耐久:310(+276)

俊敏:314(+276)

魔力:322(+276)

幸運:316(+276)

スキル:『召喚術:B級(A級)』『剣術:B級』『盾術:C級』『戦いの心得:B級』『生産の心得:B級』『闇魔法:B級』『光魔法:B級』『水魔法:C級』『火魔法:C級』『風魔法:C級』『気配察知:C級』(『空間収納:A級』『隠蔽:A級』『鑑定の魔眼:S級』『共在共有:B』)

祝福:『月女神の祝愛』

称号:『転生者』『魔に好かれるモノ』(『最高神の愛を受けしモノ』)

配下:『魔兎(神月魔兎):かぐや』『魔犬:マルトロス[召喚中MP-50]』『魔犬:メルトロス[召喚中MP-10]』

――――――――――――――――


――――――――――――――――

『マルトロス』 0歳 オス 種族:守護魔犬

クラス:『守りの番犬』

スキルポイント:0

レベル:20(+19)

HP:298/298(+190)(+100)

MP:293/293(+190)(+100)

筋力:260(+150)(+100)

耐久:304(+200)(+100)

俊敏:260(+150)(+100)

魔力:293(+190)(+100)

幸運:206(+100)(+100)

スキル:『嗅覚強化:C級』『身体強化:B級』『結界術:B級』『番犬の意地:B級』『盾術:D級』『火魔法:E級』『土魔法:E級』

祝福:『召喚士の加護』『共在共有[成長率・ポイント獲得増加]』

称号:『召喚士と契約したモノ』

――――――――――――――――

――――――――――――――――

『メルトロス』 0歳 メス 種族:魔犬

クラス:『魔犬』

スキルポイント:0

レベル:15 

HP:248/248(+140)(+100)

MP:203/203(+100)(+100)

筋力:280(+170)(+100)

耐久:204(+100)(+100)

俊敏:270(+160)(+100)

魔力:243(+140)(+100)

幸運:196(+90)(+100)

スキル:『嗅覚強化:E級』『身体強化:B級』『剣術:B級』『火魔法:D級』『風魔法:D級』

祝福:『召喚士の加護』『共在共有[成長率・ポイント獲得増加]』

称号:『召喚士と契約したモノ』

――――――――――――――――


 こんな感じで、色々と変わってる。特に変わったのはマルトロスの進化かな。それも、少し珍しい種族に成った。

 

 メルトロスを配下に加えた後、スキルを取る時にどういう感じで強くなりたいか聞くと、主や仲間を守れる様になりたいと言っていたので、色々便利で守りも出来る結界術と、装備できるか分からなかったが盾術のスキルを習得させた。

 そして二日前、レベルが20になるとこの守護魔犬に進化したんだ。かぐや曰く、魔物に限らず進化と言う現象は全ての全容を神さえ把握できておらず、未知数な要素らしい。


 なんにしろ、マルトロスが望んだとおりになった。マルトロスは進化後の自身を見て大喜びだった。


 その時にメルトロスにも同じような事を聞いたんだが、こっちは逆に、主と仲間の敵を斬り捨てるって感じで攻撃的な感じだった。ので、メルトロスには取れる範囲で剣術スキルと相性の良いスキルを習得させた。


 で、肝心の俺はと言うと、所持していたスキルをB級まで上げて新しく魔法を色々と習得した。まあ趣味に奔ったね。この調子で全部の魔法を習得するつもりだ。あ、後、称号に合った¨未習得スキルの習得に必要なポイントを一つだけ1にする事が出来る¨って効果を利用して、『共在共有』というスキルを取った。


 このスキルの効果は、主が受けている効果の何割かを配下も受ける事が出来る。主と配下が共に在る限り即死を無効化する、っと言ったもの。

 これのお陰で、マルトロスたちも俺と同じ様に強くなれるってわけだ。簡単に言えば、俺が受けている成長チートの共有だな。強くならないはずがない。

 因みに、称号効果を利用しない場合、『共在共有』の習得に必要なポイントは1000だ。人が一生をかけてやっと習得できるラインにあるスキルだからこそ効果も絶大だな。


 そんなこんなで今日も今日とて討伐依頼。今日はE級の中でも上位モンスターである、泥で出来たスライムの泥邪を倒していた。こいつは体がそのまま全部素材になるので出来るだけ水筒に入れて持って帰る。


「じゃ、帰るぞ~」

「「ワフ!」」


 泥を満杯に入れた水筒をマルトロスとメルトロスに背負ってもらい、街へ帰還する。



▽ ▽ ▽ ▽ ▽



「―はい、確認しました。依頼達成おめでとうございます! こちらが依頼報酬になります。」

「どうも」

「今回ので十五回の依頼を達成したので、C級に昇格可能になりました。ついでに昇格していきます?」

「そんなついでに寄ってく?、みたいな軽さで昇格報告しないでくださいよ……って待って、今C級って言った?」

「はい!E級からC級にランクアップです! あなたが達成してきた依頼内容とギルドでの態度を考えるに、ギルドはD級じゃもったいないと思いまして、貴方を飛び級させる事に決まりました。簡単に言えば、ギルドは貴方に期待しているってことですね!」


 何時も通り、依頼の処理をララリにやってもらい、雑談に入ろうとした瞬間に飛び出た昇格報告。……いやまあ、そろそろするだろうとは思っていたがまさかの飛び級ですか。


「まあ、ケイトさんなら当然ですよね。受けた依頼はきっちり達成して、ギルド員への態度も良し。他の冒険者との仲も良好で、素行は問題なし。最下級とは言え、一度の依頼失敗も無く十五回連続で依頼達成。ギルドからしたら、良物件も良物件ですよ。」

「ギルドからの好感度ってそんな高かったんだ。」

「因みに、職員からも人気が出始めてますよ? 見た目も良し、社交性良し、性格良し、見た感じこれからももっと強くなりそうだし、異性として狙い始めた人もいますよ。……ついでに言うと私も現在彼氏無しですよ?」

「……はは」


 道理で最近はギルド員が優しいと思ったんだ。いや、初期から優しかったが、親しみやすくなったと言うか、最近は特に仲良くなりたいって雰囲気を感じる。


 E級と書かれた個所がC級に変わったギルドカードを受け取り、早々にギルドを後にする。……人が少ない時間帯で助かった。長居したらララア狙いの冒険者どもに妬絡みされるところだった。現に少しだけ酒場に居た冒険者たちにすっごい睨まれてたし。



―とまあ、こんな感じで俺は異世界生活を楽しんでいる。


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