第75話 彼の目覚め
魔王を殺す。
それはオレの一つの決定事項だ。
もしもノコノコとオレの前に出てくるようならこれ以上ないほどに惨たらしく殺してみせるが、生きているか死んでいるかもわからないやつより、まずは生きている魔王だ。
このオレに無為な時間を、無意味な人生を与えた報いを返してやる。
仮にオレに自身の生を歩むことが許されるのなら、それは全て魔王を殺したあとだ。
おかしい?
見たこともない相手に憎悪を向けることがおかしいか。
ああ可笑しいとも!
オレはおかしくて可笑しくてオカシクテ、───とても苦しい。
この苦しさが取り除けるのなら、たとえ相手が見当違いでも構わない。
…………だが、幸運なことにどうやら間違いではなさそうだ。
ろくに役に立つことがないオレの瞳が捉えていた。
ヤツは確かに『魔王』だった。
隣に『勇者』とかいう訳のわからないやつもいたがどうでもいい。
ヤツらのレベルが99であることもどうだっていい。
単純に見てもオレの3倍以上の力の差があるのも気にならない。
いかに能力差、性能差があろうと挑むのなら殺すまでだ。
オレの魔聖剣オルタグラムが魔王の血を求めている。
オレの魔銃ブラックスミスが魔王を粉々に打ち砕きたいと騒いでいる。
だから、
なのに、
トテモ、
苦シイ。
なんでこんなにクルシイのか?
重たい。
何故このような重圧がオレを襲う?
覚醒する。
このクルシミを取り除けと、
覚醒する。
この不条理を払いのけろと、
だから、
だから、
いい加減重たいんだよチクショー!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます