③夜這い ~寝床に入られ吸血される/お詫びのアロママッサージ

//環境音 夜の森


//SE 近づいてくる足音

裸足で床を歩く


「喉、渇いた……」//寝惚け


//SE ベッドに腰掛ける


//SE 布ずれ音


「……」//鼻から深く吸う。主人公の顔に近づいて嗅ぐ


「いい匂い……」


「フーッ……フーッ……」//興奮で息が荒く


「……」//思考停止


//SE 布ずれ音

主人公の腕に口を近づける


「ん……」


「はぷ……」//前腕をそっと噛む


「ん……ちゅ……」


「ちゅる……ちゅ……」//夢中で血を吸う


「んん……んっ……」


主人公目を覚ます


「ん……」//声をかけられるが、まだ寝ぼけている


「……」


「へ……?」//次第に目が覚める


「……ハヒッ」


「あ、あ、あ、あ、あ……」//状況を理解し始める


「ご、ごごごご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!」//動揺


「わっ、わわわわわ私、なんてこと……!」


「わ、わ、わ、私っ……私、私、私……」


「あ、あああああ……」


「ご、ごめんね……本当にごめん……」


「か、勝手に血を吸うなんて……」


「ごめんね……怖かったよね、痛かったよね……」


「ごめん、本当にごめんね……」


「私……寝ぼけて……」


「ううう……」


「……」


「お、おかしいの、私……君に会ってから……」


「頭……体もふわふわして、ずっと変なの……」


「私……ひ、酷いことしたっ……」


「あああ……ごめんねっ……ごめんね……」


「お、お詫び……させてっ……」


「なんでも、君の言うことなんでも聞く……からっ……命令……してっ……」


「へっ……」


「気にして……ない……?」


「う、うううっ……」//優しい言葉をかけられ、嬉しさと罪悪感で感情がぐちゃぐちゃに


「で、でも……私っ……私っ……」


「うう……」


「え……」


「寝る場所……?ううん、ベッド、一つしかない……から……」


「わ、私は床で十分、だから……」


「む、むしろ私に床は贅沢すぎるというか、地べたに這いつくばってるのがお似合いというか、土に埋まってた方が世のため人のためかも……で、でも私の死体を養分に育った木が病気になるかもしれないし、やっぱり私なんてこの世界から消滅した方が……」//変なスイッチが入る


「へっ……?」


「私が、ベッドで……?」


「風邪引く……から……?」


「そ、そんなっ……だ、だって君は怪我してるし、君がベッド、使って……」


「寝不足……?そ、そんなこと……ない……よ……?」


「う……た、確かに、そう……だけど……」


「でも、でも……」


「ハヒッ……?」


「い、一緒のベッドで……ね、寝るの……?」


「ベッド、広い……から……?」


「でも、そんな、そんな……」


「い、嫌じゃない!嫌じゃない……けど……」


「う……言うこと聞くって言った……けど……」


「ほ、ほんとに……いいの……?」


「……」


「うううう……」//嬉しさと恥ずかしさと罪悪感がごちゃ混ぜの感情


「……ご、ごめんね。隣、横……なるね……」//緊張


//SE ベッドに横になる


以降、声近く。添い寝の距離感


「……」//意識して息を潜めているような、緊張した息遣い


「あっ……わわわ、私、臭わないかな……!もし匂い嫌だったら全身消毒して、それでも足りなかったら体中に消臭のポーションかけるし……!」


「に、臭わない?ほ、ほんとに……?」


「……」//黙り込んで気まずくなる


「へっ……」


「昼間の話……?」


「ハヒ……」//何の話か察して焦りだす


「つつつ、つがいになって……って……話……?」


「あっ……あれは……その……」


「気になる……の……?」


「う……」


「あ、あのね……」//ためらいながらも話し出す


「吸血鬼は普通のご飯も食べるけど、自分の体で血を作れないから、他の種族に頼んで血を分けてもらうの……月に一回、くらい」


「で、でも、毎回別々の人にお願いして血を貰うのは大変……だから、いつも血を貰う相手、つがい……を、探すんだ……よ……」


「つ、つがいっていうのは、体質の相性が良い相手なの……」


「相性のいい人の血なら、少しの量を貰うだけで済むし、他の人の血より……その……」


「美味しく……感じるの……」


「へっ……君の……血の味……?」//動揺


「そ、それは……その……」


「ううん、不味くなんか……なかった……その……」


「と、とっても……」


「……」


「美味しかった……よ……」//恥ずかしがりながら。内緒話を耳打ちするかのように


「……」//恥ずかしくて黙り込んでしまう


「だ……だから……吸血鬼はそういう相手を探して……自分のつがいになってほしい、ってお願いするの」


「お、お母さんも……学校でつがいを見つけてきなさい……って……」


「吸血鬼にとってつがいは家族同然、だから……。一度つがいの契りを結んだら、大切に、大切にするんだ……よ……」


「わ、私ね……血の味、あんまり好きじゃなかった……吸血鬼だけど、ご飯も、野菜とか果物しか、食べないし……」


「他の人にお願いして血を分けてもらうの大変だし……学校に来てからは……輸血パックで済ましてた……」


「でもね、でもっ……今日君の血を飲んで……」


「初めて……美味しいって、思ったの……」//恋心を告げるように


「……」//恥ずかしい


「でも、つがいになるってことは、吸血鬼にとって家族になるのと同じこと……だから……」


「わ、私、私……初めて会った人にとんでもないことを……」


「こ、こんなこと初めてで……わ、私、なんだかおかしくて……」


「だ、だから、忘れてっ……私の、言ったこと……」


「……」


「ご、ごめんね……急に、変なこと言って……びっくり……したよね……」


「気にしてない……の……?」


「……」


「ありがとう……」//優しい主人公にキュンとする






//SE 布ずれ音

寝返り


「……」//少し緊張した息遣い


「ね、寝付けない……の……?」


「ごめんね……私がさっき……起こしちゃったから……」


「……」//心配そうに見つめる


「……」//何か言いだそうかと迷っている


「あ、あの……」


「あのね……」


「アロマオイル……すき……?」


//SE 布ずれ音

体を起こす


//SE 近くの棚から小瓶を取る


//SE 瓶の蓋を開ける


「ラベンダーのアロマ……作ったの……」


「お庭で育ててるんだ……よ……」


「私も不安で眠れないとき……あるから……」


「この匂い……すき……?」


「よかった……」


「……」//どきどき


「お、お耳触られるの……嫌じゃない……?」


「……じゃあ、塗ってあげる……ね……」


//SE 布ずれ音

体勢を変えて頭側に回り込む


//SE スポイトでオイルを手に取る


//SE 手の平で軽く混ぜる


「お、お耳の後ろ……塗る……ね……」//優しく囁く


「ん……」


//演技依頼 軽く両耳の後ろに触れる


「落ち着く……?よかった……」


「小さいころね……眠れない時に、お母さんがよくしてくれたんだ……」


「お耳マッサージ……しても、いい……?」


「うん……」


「すり……すり……」//演技依頼 耳の後ろを軽く撫でながら


「すり……すり……」


「お耳の前の方も、撫でていくね……」


「なで……なで……」//演技依頼 耳の前面を軽く撫でながら


「なで……なで……」


「人間の耳って……丸いんだね……」


「不思議な感じ……私のは、尖ってるから……」


「ちょっと……可愛い……かも……」


「……」


「耳たぶはどう……?」


「むに……むに……」//演技依頼 耳たぶを軽く挟んでさすりながら


「むに……むに……」


「とっても気持ちよさそう……」


「嬉しい……」


「……」


「……眠たくなってきた……?」


「いいよ……このまま寝ても……」


「おやすみ……」


「……」






//環境音 朝の森


//SE 二人分の足音


「こ……ここまでくれば大丈夫だ……よ……」


「こっちの道なら人食い花も、生えてないし」


「しばらく歩けば、校庭に出られるから……」


「気を付けて……ね……」


「……」


「うん……よかった……怪我もよくなったみたいで……」


「う、ううん……私も、血、貰っちゃったし……ありがとう……」


「……」


「ハヒ……!?」


「へ……返事……!?」


「へへへ、返事って……その……」


「つがいの……話……?」//恥ずかしくて小声になる


「あ……あれは、その……私もいきなりだったし……」


「あの……あの……」//しどろもどろ


「へ……?」


「友達……から……?」


「友達に、なって……くれるの……?」


「私のこと……い、嫌じゃ……なかった……?」


「……」//感激の吐息

友達になって欲しいと言われたことも、真剣に考えて返事をしてくれたことも嬉しい


「ま、また会いにきて……くれるの……?」


「う……嬉しい……」//感涙


「じゃ、じゃあ……私も君の、大切なもの……探すの、手伝う……から……」


「うん……うん……」


「ま、待ってるね……!」


「私、待ってる……から……」


「うん……」


「またね……」//喜びが滲む

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