『どっこいしょ』

『どっこいしょ』



なんとなしに口に出してしまうこの言葉。


気合を入れるための掛け声と考えられていますが、実は別の説もあるのです。


盆踊りの「どっこいしょ~」や「どっこいせ~」という掛け声は良く耳にする事でしょう。


そもそもの意味として「どっこい」は「どこへ」がなまったものとされています。


相撲などでは一種の挑発的な使い方がされており、「どっこい」はかかってくる相手をからかい、「どんな手で来るかね?」とか、「どこへ行こうと言うのかね?」などという意味があったりします。


『どっこい』がさらになまったものが『どすこい』になったりします。


歌舞伎においては、相手の言動を遮るのに用いられています。


「ところがどっこい。やるまいぞ、やるまいぞ」と相手の動きを制する台詞として用いられたりしますね。


上記二つが、だいたい皆さんの考えている『どっこい』のイメージではないでしょうか?


『どっこい』にサ行を加える語感の良さ。


どっこいしょ~! どっこいさ~! どっこいせ!


盆踊りの音頭でも聞いている雰囲気になります。


さて、ここまでが前置きで『どっこいしょ』のもう一つの説。


それは山での修行で用いられた『六根清浄ろっこんしょうじょう』を語源とする説です。


六根とは、人間に備わる五感と、第六感と言うべき“意識”を加えたものをさしています。


六根を清浄にする行い。つまり、修行を積んで、清く正しい心を持ちましょうということです。


この辺りは、『般若心経』や『法華経』などに記されていますが、長くなるので割愛いたします。


そして、この『六根清浄ろっこんしょうじょう』は主に修験道の方々が好んで用い、山伏が山を練り歩く際に唱え続けたとされています。


険しい山道に分け入り、誰しもが「六根清浄ろっこんしょうじょう! 六根清浄ろっこんしょうじょう!」と唱えながら、歩き回ったというわけです。


そして、いつしかそれがなまってしまった。


つまり、ろっこんしょうじょう → ろっこんじょう → どっこいしょう という流れでなまっていったというわけです。


同じ言葉を何度も繰り返している内に、妙な言葉が紡ぎ出されるのは、なんとなしに分かるかと思います。


「生麦、生米、生卵!」の早口言葉が、そんな一例でしょうか。


気の遠くなるような長い道のりを修験道の山伏が「六根清浄ろっこんしょうじょう!」と繰り返しているうちに、いつしか「どっこいしょ~!」へと変化していったというわけです。


皆さんも山歩きしながら『六根清浄どっこいしょ~』と唱えませんか?


ちなみに自分は畑仕事やりながら、たまにやってます(笑)





どこへ行こうと言うのかね?>( -ω-)人  (´・ω・` )<バルス!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る