『転生』ってどういう事?

ラノベ業界ではもはや当たり前のように使われている『転生』という言葉。


要は、今の“生”を終え、次なる“生”を始める事。


読者の皆様の感覚としては、おおよそこれくらいの感覚でしょうか。


しかも転生もののストーリーだと、前世の記憶を継承し、さらに神様的な存在から技術や道具を受け取り、次なる“生”を謳歌する。


転生もののおおよそのテンプレですね。


この『転生』という概念は、仏教を含めた古代インド哲学の根本原理から来ています。


『サンサーラ』というサンスクリット語の由来する用語で、日本語に訳すと『さまよう事』あるいは『生まれ変わる事』を意味します。


因果応報いんがおうほう』と言う言葉があるように、あらゆる物事には原因となる事象があり、それが結果として現れると言う事です。


つまり、現在の自分の境遇は、過去の、“前世”での行為の結果だということです。


厳しい現実を感じているのであれば、それは前世の行いが悪く、その結果が現在現れているのです。


そして、それを踏まえて現在の行いを正し、善行功徳を積み上げる事により、来世ではより良い“生”を得る事ができます。


仏教とは、言ってしまえば“やり直し”の連続です。


最終的には輪廻という苦しみの世界を循環する自分を解脱させ、その輪より解放する事を目指すものです。


一度の“生”で成し得ぬ悟りの境地を、何度も何度も“生”を“転”じて到達する。


『転生』とは、悟りの再試験なのです。



閻魔様「ん~、君、かなり功徳を積んだね。うっし、次は天道スタートね」


死者A「イェ~イ♪」


閻魔様「えっと、君はちと悪行が過ぎたね。次は畜生道からスタートね」


死者B「ノォォォ!」



ちと大雑把ですが、前世での行いを見極める裁判が行われ、来世の行先が決定されます。


三善趣(天道、人間道、修羅道)、あるいは三悪趣(畜生道、餓鬼道、地獄道)のどこかに飛ばされ、次なる生を始めます。


より良い生を得られれば、それだけ悟りに近付き、解脱に向けて進むことができます。


言ってしまえば、“自分”と言うゲームをプレイし、命尽きるまでそれを続ける。そこで得た功徳スコアによって、次なる世界の状態が決定されるというわけです。


功徳スコア次第で次なる生が、『強くてニューゲーム』になるか、あるいは逆に『強制縛りプレイ』が始まるのか、それが決すると言うわけです。


ラノベの転生と違う点は、『記憶が継承されない』『功徳スコアは持ち越せて、それ次第で次の転生先が決まる』『既定の功徳スコアに到達すれば、輪廻の解脱ゲームクリアできる』と言ったところでしょうか。


一方、功徳スコアを落とし、三悪趣に落ちてしまっても大丈夫です。前世の行いを悔いて反省すれば、三善趣に立ち返る事も出来ます。


特殊な例ですが、仏陀の愛馬カンタカは“仏陀の出家を助ける”という最高の功徳を積み、畜生道から一足飛びに天界へと召されました。


何度も言いますが、仏教は“やり直し”の連続です。何度も何度も悩み苦しみながらも、功徳を積んでより良い生を掴み、次なる生に繋げるのです。


ちなみに、時間の限りは“弥勒みろく菩薩の降臨”までとなっています。


弥勒菩薩は“未来仏”とも呼ばれ、仏陀の次に覚者になることを約束された存在であり、これの降臨を以て世界は完全なる救済を迎えます。


現在の弥勒菩薩は六欲天の第四天・兜率天とそつてんに座し、日夜修行に励んでいます。


そして、弥勒菩薩が悟りを開くことを約束された日は、仏陀入滅から56億7千万年後となっています。


つまり、その56億7千万年後までに転生を繰り返してでも功徳を積み、解脱を成し遂げようと言うわけです。


ちなみに、この途方もない数字は弥勒の兜率天での寿命が4000年あるからです。


そして、兜率天の1日は地上の400年に匹敵するという説から、4000年×12ヶ月×30日×400年=5億7600万年かかるという計算に由来します。


で、なぜかいつの間にか桁が一つ増えてしまい、56億7千万年後と現在に伝わっているのです。


皆さん、期限が長いからと悠長な事を言わず、日々功徳を積むことを心掛けて生きていきましょう。


生を転じて、次なる世をより良く生きるため、善行を心がけましょう。


因果応報いんがおうほう』を知りてこれを噛み締め、『輪廻転生りんねてんしょう』を鑑みて、よりよい来世を目指す。


さあ、皆さん、原因と結果の因果律に基づき、今日も健やかに過ごしましょう!



原因と結果は不可分>( -ω-)人   (´・ω・` ) <要はブーメランや

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