仏陀、息子にDQNネームをつける

仏陀の十大弟子の9番目に、羅睺羅ラーフラという人物がいます。


実はこの羅睺羅、仏陀の息子なのです。


坊主なのに子供いるの? と思われるかもしれませんが、仏陀が出家する前に生まれた子供です。


仏陀は元々、釈迦シャカ族の王子であり、その時の名前はゴータマ=シッダールタと言います。


文武共に優れ、父である浄飯王シュッドーダナから跡取りとして期待されました。


浄飯王は息子が出家しようとしていると知り、さっさと結婚すればその気も失せるだろうと、拘利コーリヤ族の姫・耶輸陀羅ヤショーダラーと結婚させました。


ちなみに、仏陀が耶輸陀羅ヤショーダラーと結婚した時は、それぞれ17歳と10歳と、かなり若い組み合わせだったようです。


お父さん、気持ちは分かりますけど、焦り過ぎですよ!


そして、この二人の間に生まれたのが羅睺羅ラーフラです。


産まれた時期は諸説ありますが、仏陀が出家して旅に出る28歳の頃の子供だとされています。


耶輸陀羅ヤショーダラーから妊娠を告げられた際、仏陀は大いに悩んだそうです。


人間には多くの煩悩が存在し、それを克服しなくては悟りを開くことはできません。


家族への愛情すら、求めてはならないのです。


ゆえに、仏陀は自分の生まれてきた子供こそ涅槃ニルヴァーナに至る最大の障碍であると捉え、“ラーフラ”と名付けたのです。


“ラーフラ”はパーリ語で“障碍(障害)”を意味しています。



「息子が邪魔過ぎる! これじゃ出家できない! 障碍ラーフラと名付けよう!」



仏陀さん、息子になんて名前、付けちゃうんですか!?


数ある煩悩の中でも、“子煩悩”なんて言葉があるように、これもまた仏陀を悩ませるものとなりました。


まあ結局、引き留める家族を振り切って、旅に出てしまうんですけどね、この王子。


そして、35歳の時に菩提樹の下で悟りを開き、実家に戻って一族の多くを出家させます。


この際に羅睺羅ラーフラも出家したとされます。


しかし、この羅睺羅ラーフラ、何しろ教祖・仏陀の息子である。


教団の人々も彼を特別扱いしようとしますが、羅睺羅ラーフラはそれを拒絶します。


そんな拘り、執着は不必要と、誰よりも弁え、誰よりも自制し、不言実行を以って密行みつぎょうを全うしたとされます。


最も熱心に学業、修行に打ち込み、父・仏陀から学び取ろうという姿勢は、多くの出家者から尊敬の念を集め、十大弟子の中にあって“密行第一”あるいは“学習第一”と称されるまでになりました。


その辛抱強く耐え抜く様は【羅云忍辱経】に記されています。


偉大な父の威光も借りず、むしろ誰よりも自制して、忍辱を成し得る姿は、まさに理想的な“2代目”なのかもしれません。


と言うわけで、聞いていますか、世の中の“2代目”と呼ばれる方々よ!


親の威光や財産を笠に着ず、何よりも自制心を持って学びに打ち込みましょう。


“ラーフラ”には“悪魔”あるいは“ナーガ”を意味するものも含まれています。


『月と太陽を隠す悪魔ラーフ』となるか、『仏法を守護する龍王ナーガラージャ』となるか、それは忍辱と、そこより湧き出でる智慧を体得するか否かなのではないでしょうか。


驕ることなく、自制の心を持ち続けましょう。


驕りは無明であり、あらゆる苦に繋がります。


それを払拭するのは智慧であり、これを体得する事により無明を消し去れるのです。


学ぶ姿勢と驕りを抑える自制心、努々忘れる事の無きように!



悪魔ラーフは首だけ不死>( -ω-)人   (´・ω・` ) <つまりゆっくりか……

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