第6話 少年と新たなスキル
千年迷宮第1層 平穏なる岩場
迷宮の第1層から第5層迄はなだらかな起伏と全体的に灰色なゴツゴツした岩肌の壁が続くフィールドだ。
出てくる魔物も弱く、スライム、ゴブリン等の低級な魔物ばかりだ。
だが1層でもかなり広く、端から端まで歩いていると普通な冒険者で3時間はかかる。
岩場のフィールドでも端の方に水場や植物の生い茂る場所があり、そこでポーション等に使う薬草などの植物が自生している。ゴブリン相手でも複数に囲まれると何のスキルもないリオンでは勝つ事が難しい為、リオンは主にここが拠点だったりする。
次の階層に向かう道はフィールドの真ん中付近にあるため第1層で薬草を集めるなんてしているのはリオンのような底辺冒険者ぐらいだ。
「それじゃぁ、どれくらい戦えるのか確認しながら5層ぐらいまでいこうか?」
「オッケー! 早速【剣聖】様をお借りしますよっと」
リオンは自分にだけ見える画面を出現させるとユニークタレントの【剣聖】を選ぼうとして、大きく目が見開かれる
「なっ!? ヤバい! ミリアッ!! 近くにアイツがいるっ!!」
「えっ!? ちょっ? 何? きゃあっ!?」
リオンは転がるようにしてミリアに抱きつくと慌てた様に前後左右をキョロキョロと見回す
「いない? あのヤバい奴がいる筈なんだけど……」
「なっ……何してんのよー!!」
急に抱きつかれ地面に組み敷かれたミリアは顔を真っ赤に染めてリオンを蹴り飛ばす
「ぐあっ!? ちがっ! あのヤバい奴が5メートル以内にいるんだって!!」
「はぁ? 確かにヤバい奴がすぐ近くにいたわっ!」
「いやっ、俺じゃなくてっ!?」
リオンを蹴り飛ばしたミリアは急いで立ち上がると若干、上気した顔でリオンを睨む
「あれぇ? おかしいなぁ……アイツのスキルが使える状態なんだけど……」
「アイツって? ガルヴァリオ?」
「そうそう。そんな名前の奴。でもどう見たって5メートル以内にはいねぇよなぁ?」
ミリアに蹴られたお腹をさすりながらリオンは辺りをキョロキョロと見回す
「そうね、気配は一切無いわ。リオンにどんな風に見えてるのかわからないけど、その【共有】した状態で相手が死んだから、とか? とりあえず使えるなら使ってみたら?」
「そうだな。【
「…………それって毎回言う必要あるの?」
「いや、全く」
☆★☆★☆
「あっーはっはっはっはっはっはぁーっ!!」
千年迷宮、第5層──
黒い影が高速で動き、大きな笑い声を響かせながらフィールド上の魔物を鎧袖一触に葬り去っていく
「まったく、呆れた能力ね……本当にとんでもないわ」
黒い霧の様なオーラを身に纏い、その両腕は無手のままで魔物を切り裂いていく
それを追走するように走る赤髪の少女──ミリアはリオンの能力の無茶苦茶ぶりに呆れている
「あっーはっはっはっはっはっはぁーっ!!」
「そろそろ主部屋よ。一旦落ち着いて!」
「主部屋?」
辺りの魔物を粗方刈り尽くしたリオンはようやく立ち止まる
「迷宮を踏破するとか言っといて何も知らないのね?」
「いやぁ、俺ってば薬草摘んでただけだから……ははっ」
悪びれもせず、頭を掻きながらリオンが答えるとミリアが「あのね……」と説明を始めてくれた
「今のところ5層ではハイオークが主って事になってるの。このハイオークの魔核を持って行けば銅級に上がれるわ。その後は10層、20層、30層と10層毎にボス的な魔物が居るのよ。これを倒していくと大体ランクアップさせてもらえるわ」
「大体って? ダメな場合もあんの?」
「そうね、あんまり無いけど……例えば、とても弱そうな小さな子供が私みたいな高ランクと一緒に行った場合、本人の実力が認められない、とかね……」
「…………それ、俺駄目じゃない?」
「そうかも……あっでも、実力認定用の試験がギルドでやってた気がするわ。ボスの魔核と試験受ければ大丈夫だと思う……たぶん」
現在30層以降は聖銀級以上という高ランクじゃなければ転移陣の使用が出来ない為、迷宮を攻略する上で大きなデメリットになる。
その為、リオンのランクアップが最優先課題なのである。
「まぁ、ハイオーク倒したら一旦戻ろうか」
「りょーかい! ちゃちゃっと倒してくるぜ!! にしてもこの【
そう言って走り出したリオンを見ながら、ミリアはあまり普段と大差無いな、と小さく嘆息した。
────────────────
【
パッシブスキル
身体能力超強化
敏捷性最大化
反応速度超上昇
即応反射
回復速度上昇
聴覚強化
嗅覚超強化
アクティブスキル
魔爪化
黒霧纏い
黒霧化
眷属招来
魔狼吼
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます