後編


拝啓 お父さん、お母さんへ


お元気ですか。私はとっても元気です。

ひとり暮らしは寂しいと思っていましたが、サイさんがいるので寂しくないです。

サイさんは、内見の時は荒れていましたが、私が引っ越してきてからおとなしくなって、よく卵焼きをつくってくれます。

サイさんのおかげで、寂しくないです。部屋も広いので、快適に過ごしています。

サイさんのお友達もたまに来てくれます。

猫耳の生えた女の子や、貞子の親友と名乗っている子とか……毎日楽しいです!!

本当に寂しくないです!!

お父さんとお母さんも体調に気を付けてください。


追記:この部屋に唯一問題点があるとするのならば、お風呂がありません。近くの銭湯に毎日行っているので、たくさんお友達ができました。……結果、この家は最高です!!


敬具  牧野彩






幽霊も、岸野も、浴室がないことに不安がっていたのだろう。

幽霊はいくら注意喚起をしても平然とそこに来た彩は、ただものではないだろう。




では、幽霊の正体は何だろう。

なぜ、浴室がないことをそんなに彩に伝えたかったのだろう。

なぜ、その部屋にいたのだろう。



……ただの家を見たはずが、謎が残ってしまった。

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寂しがりや。 飛鳥部あかり @asukabe

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