ブラック企業の夜勤

20代の女性から聞いた話です。


私は霊感はなく、心霊現象にもほとんど遭ったことがないのですが、数年前に関東のとある企業で仕事をしていた頃に何度かそういった体験をしました。


その企業は所謂ブラック企業でテナントビルの数フロアが会社のオフィスになっていて2Fの窓際に私の席がありました。

仕事内容的にはオフィスでパソコンで作業をするタイプの仕事だったのですが夜遅くまで残業することがざらにありました。


その日は他の社員さんは既に帰宅していて、オフィスに残っていたのは私1人でした。

時間は22時になるかならないかくらいだったと思います。

オフィスは私の席の辺りだけ照明を点けて、それ以外の場所は消していたので周りは薄暗く、またいつもは誰かしらいるのにひとりぼっちで静かだったのでなんだか少し不安な気持ちになっていました。

作業をしながら、あと1時間程作業をしたら帰ろうかな

などと考えていると


ガタン!


1Fの休憩スペースにあるイスが倒れる音が聞こえました。

社員は私以外絶対にいません。

入り口のドアが開いたりというような誰かが入ってきた様子もありませんでした。


私は恐ろしくなり友人に電話をかけることにしました。

友人は家でゆっくりしていたようで電話に出てくれました。

今の状況と起きた出来事を伝えると電話をつないだまま喋ってくれることになりました。

友人が最近の出来事なんかを一方的に喋ってくれて私は相づちを打ちながら仕事の続きをしていました。

30,40分程が経ち仕事がもうそろそろ終わりそうというところで


バンバン!!


私の右後ろの窓を外から誰かが手で叩くような音が聞こえました。

怖すぎてそちらを見ることはできず、急いで帰りの準備をし会社を後にしました。

当然2Fのオフィスの窓は叩ける状況ではありません。

椅子を倒したのは、2Fの窓を叩いたのは誰だったのでしょうか。

今となっては答えはわかりません。


ブラック企業の夜勤 完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る